ドイツで完成 放射性廃棄物ゼロ 次世代エネルギー「核融合発電」で、もう原発はいらない
2014.04.05
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ミュンヘンにある炉はドーナツ状。高温、高磁場になるためどんなゴミも落とさないように完全防備で作業
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グライフスヴァルトにある核融合実験炉W7-Xの外壁の部品。これがねじれたドーナツのような形で連なる
「核融合発電では、ガスコンロのように外部から容器内へガス状の燃料を供給するため、燃料の供給や電気を止めれば反応は停止します。災害時でも暴走せず、原子力発電に比べて高い安全性を確保できます」(核融合科学研究所大型ヘリカル装置計画実験統括主幹の竹入康彦氏)
 次世代エネルギー「核融合発電」の世界最大規模の実験炉が、独・グライフスヴァルトのマックスプランク・プラズマ物理研究所(IPP)に誕生した。
 IPPは、ミュンヘン近郊にも核融合実験炉を有している。約140万人のミュンヘン市民の目と鼻の先で核研究ができるのも、核融合炉が高レベルの放射性廃棄物を出さず、爆発の危険性が皆無と安全性が保証されているから。もちろん、二酸化炭素の排出とも無縁だ。
 しかも、燃料枯渇の心配もない。火力発電に必要な化石燃料や原発に必要なウランは長くても100〜200年の間に枯渇するといわれているが、核融合発電の燃料となる重水素と三重水素は海水から取り出すことができる。数万年以上にわたってエネルギー源の供給ができるのだ。
 同研究所にあるヴェンデルシュタイン7-X(W7-X)という核融合炉の建設主任トーマス・クリンガー博士は、語る。
「核融合発電は効率もよく、たった1gの燃料で石炭11t分に相当するエネルギーが生み出せる。従来の原発と同じように、熱を利用してタービンを回し発電する仕組みも変わらない。だから、核分裂炉を撤去して代わりに核融合炉を設置すれば、既存の原発施設を流用することもできる。将来、地球の人口が爆発的に増加し人々がさらに豊かな生活を望めば、化石燃料や風力、太陽光発電だけでは電力不足に陥ることが目に見えている。それを救うのが、核融合発電なんです」
 福島第一原発事故を受け脱原発を加速するドイツが引っ張る形で、EUの核融合発電研究は進んでいる。翻って日本はどうか。日本原子力研究開発機構那珂核融合研究所の栗原研一副所長が語る。
「核融合開発は20世紀半ば頃から始まり、現在では日欧がしのぎを削っています。欧州は日本の3倍くらいの人数を掛けて研究をしていますが、これまでの実験では日本が最高記録を持っていて、太陽よりも高温の5.2億℃を達成しました。これらの研究が周知されていないのは、宣伝不足や広報活動に対する意識、人員が十分でなかったためでしょう」
 そうなった原因は、国の政策にある。日本は核分裂、核融合を含めた原子力エネルギーに世界最大の24億ドル(’01年実績)をかけたが、その90%以上が核分裂にあてられた。それに対し、ドイツは1.5億ドル(’03年)の82%を核融合に使っている。
 研究の世界で、2位は意味がない。世界でトップを走る研究に投資するのは常識だ。もう、原発なんていらない!
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世界最先端装置の建設主任クリンガー博士。あらゆる分野で高い専門教育を受けた人間が働いている
Photo:木場健蔵
HOT WORD: 原発
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