安倍政権を完全支配する「日本会議」の正体 根底から暴く!
2014.08.07
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安倍首相、麻生副総理含め13人の閣僚が名を連ねる右派組織。
「自衛隊を国防軍に」「8.15靖国参拝」「美しい国・日本」の発想はすべてここから来た。
女性蔑視ヤジ都議、ネトウヨと呼ばれる地方議員たちもこの組織に属している……
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日本会議設立初期から「懇談会」に参加する安倍首相。憲法改正に向けて、日本会議との連携を強める
Photo:鬼怒川 毅
旧日本軍参謀らが創設
「安倍政権が誕生したことは、憲法改正への千載一遇、絶好の機会です。われわれの悲願、英霊の悲願がかなうのです。私たちは憲法改正のため、国民の啓発運動に立ち上がっていきたいと思います。ご協力、よろしくお願いいたします!!」
 壇上の男がこう叫ぶと、会場には大きな拍手が響いた。8月3日、福岡県の福岡国際ホール大ホールで行われた「英霊顕彰・県民の集い」。終戦から69年目の夏を迎えるにあたり、「大東亜戦争」で亡くなった人々を追悼するというこの会では、先の戦争で日本はアジア解放のために戦ったことや、いますぐに憲法を改正すべきだという主張が延々と語られた。会場には400ほどのイスが用意されていたが、すぐに満席となって増席、最終的には500人近くで埋まった。
 この会を主催した団体がいま、注目を集めている。「日本会議」。「誇りある国づくり」を目的とする任意団体で、会員数は全国に約3万5000人、総支部数228を誇る。この団体がいま、安倍内閣の"後ろ盾"となり、憲法改正と国防力の強化に邁進(まいしん)している。「日本会議」とは、一体何なのか――。
 発足したのは’97年5月。「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」の二つの保守系団体が統合され、今日の姿になった。同会に詳しいジャーナリストの魚住昭氏が解説する。
「日本の歴史や伝統を守ることを目的に、’74年、主に神社本庁などの保守系宗教団体によって構成されたのが『日本を守る会』、保守系文化人や旧日本軍の関係者などが中心となって’81年に発足したのが『日本を守る国民会議』です。両者の憲法観、歴史認識はほぼ一致していたので、日本の伝統回復、憲法改正のために大きな団体を作ろうと’97年に統合した。初期の日本会議の幹部は、旧日本軍参謀の故・瀬島龍三伊藤忠相談役らが名を連ねていました」
 現在の役員には、神社本庁の総長、神道政治連盟常任顧問、霊友会常務理事、靖国神社宮司、黒住教教主ら巨大宗教団体の幹部、ブリヂストン関連会社の元社長ら財界人、東京大学名誉教授ら学者、そして保守系ジャーナリストなどの名前が並ぶ。機関誌『日本の息吹』では、「南京虐殺はなかった」「東京裁判は誤り」「首相の靖国参拝を」といった主張を展開。「教育改革」も大きなテーマの一つで、これまでの歴史教育を"自虐的"と批判する『新しい歴史教科書をつくる会』の活動を支援してきた。
 日本会議の特徴は、国会議員と強いつながりを持つことだ。日本会議を支援する「日本会議国会議員懇談会」には、289人もの国会議員が参加する。懇談会メンバーである自民党中堅議員が明かす。
「積極的に献金したり、パーティー券を買ってくれるわけではないが、この懇談会に参加していないと、保守議員と名乗ってはいけないような空気が党内には漂っています。自民党本部には日本会議のイベントの告知ビラが貼られていますし、党との結びつきも強い」
 注目すべきは、日本会議と安倍政権の関係だ。麻生太郎副総理をはじめ、閣僚19人中13人が「懇談会」に参加している。無論、安倍首相も同懇談会のメンバーで、日本会議主催のシンポジウムやイベントに頻繁に参加している生粋の支援者だ。安倍内閣は「日本会議内閣」といっても過言ではないのだ。

安倍政権の政策ブレーン
「首相は日本会議のほうを向いて政治を行っているのでは、と思うことがある」
 こう漏らすのは、官邸関係者だ。
「昨年2月、安倍さんは小泉政権時から議論されてきた、女系天皇を認めるという皇室典範の改正論議を白紙にすると発表しました。さらに、年末には靖国神社に参拝しましたが、これは日本会議へのアピールという意味が強かったのではないかと思います。いずれも日本会議が強く安倍首相に訴えてきたことです」
 首相就任後2年弱の間で、安倍首相は「皇室典範改正の白紙化」「靖国参拝」「集団的自衛権の行使容認」「道徳の教科化の推進」など、日本会議と歩調を合わせるような政策・行動をとってきた。
 実は、安倍首相は日本会議の幹部を"ブレーン"としている。自民党ベテラン議員が説明する。
「’06年に発足した第一次安倍政権では、『五人組』といわれるブレーンが活躍しましたが、そのうちの一人は日本会議の常任理事を務める伊藤哲夫氏でした。また、同じく五人組の一人だった高崎経済大学の八木秀次氏は、日本会議で講師として活躍している。’12年12月に誕生した第二次安倍政権では、日本会議の代表委員を務める長谷川三千子氏をNHKの経営委員に任命しています。安倍政権と日本会議は切っても切り離せない関係なのです。安倍首相の著書『美しい国へ』(’06年刊行)を読めば、その歴史観、安全保障観、教育観が日本会議と大きく重なっていることがわかります」
 首相の悲願である憲法改正でも、日本会議は大きな役割を担う。日本会議の関係者が明かす。
「憲法改正の意義を説明するDVDの配布や街頭での署名活動などを積極的に行っています。日本会議は憲法改正のための『3ヵ年構想』を描いています。今年は『全国に憲法改正の推進本部を設置』、来年は『憲法改正への国会発議要請運動開始』、そして’16年に『国民投票の実施』という流れです」
 全国の地方議員によって構成される「日本会議地方議連」には、1700人を超える議員が参加しているが、日本会議は彼らと連携して、草の根の憲法改正運動を活発化させるつもりだという。
「来年は日本武道館で、憲法改正を訴える大規模集会を行う予定です」(同)

「朝日が日本を滅ぼす!」
 勢いづく日本会議。だが、危うさも見える。日本会議の支援者には、問題を起こす議員が目立つのだ。
 今年3月、社会学者の上野千鶴子・東京大学名誉教授が山梨市で介護問題についての講演を行おうとしたところ、日本会議地方議連のメンバーである望月清賢市長が、上野氏のこれまでの思想や発言に問題があるとして、講演を中止しようとして騒動となった。
 今年6月、東京都議会で塩村文夏都議に向かって「早く結婚しろ」とヤジを飛ばした鈴木章浩都議も日本会議のメンバー。彼は’12年に尖閣諸島に上陸して、事情聴取された経験もある。同じく6月、新宿で集団的自衛権に抗議した男性が焼身自殺を図ったことについて、ツイッター上で「迷惑極まりない行為で明らかに犯罪」「マスコミは完全にイカれてる」とつぶやき、「ネトウヨ議員」と批判を浴びた小野寺秀・北海道議もやはり日本会議地方議連のメンバーだ。
 彼らに共通するのは、自分と違った考えや意見を持つ人間を排除しようとする姿勢だ。8月3日の福岡のイベントでも参加者からは「朝日新聞は日本を滅する新聞だ」「左翼団体に騙されてはいけない」といった言葉が飛び交った。前出の魚住氏は、安倍首相と日本会議の距離の近さに危機感を覚えるという。
「歴史観ひとつをとっても、『日本会議』の考え方はあまりに一面的です。過去の戦争を賛美しているが、『あの戦争は正しかった』と一言でいえるものではないでしょう。今後、彼らは憲法改正、そして日本の軍備強化のために尽力するでしょうが、その憲法観も安全保障観も、短絡的では、と不安になります。安倍首相の思想・歴史観もやはり短絡的なところがあるが、他者の意見を聞かずに進んでいくことに危うさを感じています」
 安倍首相と日本会議が作る国は、本当に「美しい国」なのだろうか。
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国会議員懇談会の特別顧問を務める麻生太郎副総理。日本会議とともに、教育基本法改正に尽力している
Photo:鬼怒川 毅
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