本誌の独自測定でわかった なんと10マイクロ超! 福島の放射能汚染 まだまだこんなにヒドい
2014.08.29
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南相馬市の渡辺クリニック駐車場。計測した3回とも10マイクロを超える放射線量を記録した
 福島の除染作業が進まない。住宅地のうち除染が完了したのはわずか37.9%。福島第一原発から20㎞圏内の旧警戒区域を含めれば、数値はさらに下がる。
 本誌は8月8〜10日に、県内8ヵ所の放射線量を独自に測定した。すると、ほぼすべての場所で除染の基準となる毎時0.23マイクロシーベルトをはるかに超えたのだ。
 もっとも高かったのは、南相馬市の病院の駐車場。地面に線量計を置くと数値はぐんぐん上昇し、10.14マイクロを記録した。そこに1年間いると、ICRP(国際放射線防護委員会)が安全基準とする年間1ミリシーベルトの44倍もの被曝(ひばく)をすることになる。近隣に住む建設技師の吉田邦博氏(53)が語る。
「このあたりは除染されていません。風が吹けば放射性物質が舞い上がり、内部被曝します。市に除染しない理由を聞くと『予算がない』と言う。住民の体をなんだと思っているのでしょう」
 除染されたはずの場所でも数値は高い。福島第一原発から北西に約60㎞離れた福島市東部地区にも、ホットスポットは存在するのだ。たとえば市立岡山小学校前の交差点路上では、10.14マイクロを計測。二人の子供を同校に通わせる40代の母親が、心配そうに話す。
「こんなに数値が高かったら、除染した意味がありません。子供には放射線量の高い場所にはぜったい近づかないように言っていますが、通学路となるとどうしたらよいのか……。なぜ、国や自治体はもっとしっかり除染をしてくれないのでしょうか」
 南相馬市の中心部、原町区に住む神野軍(いさお)氏(70)も同様の不安をもらす。同氏の自宅の庭では、8.77マイクロを記録したからだ。
「春先まで10マイクロあって除染したんだけど、また、ほぼ元に戻っちゃったな。家の庭でもこの数値の高さじゃ、横浜と埼玉に避難してる子供たちに帰って来いとはとても言えないよ」
 なぜ除染をしても、線量が下がらないのか。放射性物質の流れに詳しい長崎大学工学部の小川進教授が解説する。
「福島第一原発の北西に広がる阿武隈高原そのものが汚染されているからです。とくに原発から北西に向かう、国道114号線周辺の谷間や尾根に大量の放射性物質がたまっています。それが雨や風で落ち葉などとともに住宅地へ流れ、くぼみや吹きだまりがあればホットスポットになる。完全な除染は不可能なんです。それでも繰り返しやるしかない」
 いっこうに改善しない福島の状況。だが除染を指導する国に緊迫感はない。
「個人の年間被曝量を、1ミリシーベルト未満に抑えるのが目標です。そのため、住民の皆さんに線量計を持ってもらっています。データをとりながら放射線量の高い場所を除染するなど、実証的に調査を行います」(環境省水・大気環境局)
 国は調査すると繰り返すばかり。有効な対策をたてなければ、福島の放射性物質が減ることはない。

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南相馬の民家の庭では8マイクロを計測。「除染しても線量は下がらない」と住民の神野氏は語る

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取材・文/桐島 瞬(ジャーナリスト)
HOT WORD: 原発
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