築地 「食べずに死ねない」究極の7店
2016.04.03
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年末年始に行ける機会は二度とない
場内魚がし横丁
築地場内の飲食エリア「魚がし横丁」は’16年豊洲へと移っていく。早朝から行列のできる寿司店をはじめ、活気ある雰囲気の中で旨い食事ができるのもあとわずかだ。今回は、覆面調査で実際に食べて調べた究極の7店をご紹介!
寿司大
店長おまかせセット 4000円の一部
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生本鮪大トロ
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真鯛
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金目鯛昆布締め
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塩水ウニ
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サンマ
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赤貝
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マグロのヅケ
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天然ブリ
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生いくら
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たらこキュウリ、マグロの巻物
セットは写真のほか、穴子、自分が好きな寿司1貫の合計12貫(玉子焼き、お椀つき)。濃厚なウニ、口の中で弾ける生イクラなど、すべてのネタの内容が素晴らしい

築地の力がみなぎる
江戸前寿司に大行列

 開店前から行列ができ、朝5時のオープン時には、2〜3時間待ちも少なくない人気の寿司店だ。食べ応えあるネタの大きさが魅力の「店長おまかせセット」(4000円)は、その日の築地で仕入れた最上のネタを使う。舌触り滑らかで脂と身の旨みがたまらない生本マグロの大トロ、反り返ってしまうほど鮮度がいい貝類など、築地の目利きと仕事が感じられる寿司ばかり。最後に店のメニューの中から、自分が好きなネタを1貫頼めるサービスもうれしい。
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住所:築地市場魚がし横丁6号館
営業時間:5時〜16時
定休日:市場休場日

龍寿司
龍特製ちらし 3500円
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端正に盛り込まれたちらし。赤身や赤貝、鯛、イカ、白魚など、にぎりの定番ネタはもちろん、カンピョウなど職人の仕事が加わった具材も堪能できる一品だ
蘭 3500円の一部
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本マグロのトロ
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スミイカ
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根室産サンマ
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赤貝
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エンガワ
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車エビ
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カッパとマグロの細巻き
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穴子
7貫に巻き物のついたおまかせ。仕入れによってネタの内容は変わるが、最後はツメがたっぷり塗られた穴子でシメられる

天然物のネタを生かす
寡黙な職人の腕前
 創業昭和34年、50年以上ノレンを掲げ続ける店。天然物のネタだけを使用し、赤酢を使用したシャリと合わせている。ネタのよさは文句なし、そのうえ人肌のシャリとネタが一体となり、口の中でスルリとほどけるように感じられる。なかでもゆっくり味わいたいのが穴子。ふんわりととろけるように消えていく穴子は、松下幸之助氏が愛した逸品として名高い。職人は無口なタイプ、その味と技量を静かにゆっくりと楽しみたい。にぎりは2500円〜。
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住所:築地市場魚がし横丁1号館
営業時間:6時半〜14時
定休日:日、祝、市場休場日

天房
本日の天丼 1200円
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エビ、ヤリイカ、キス、目光、芝エビなど日替わりの天タネがカラリと揚げられている。甘辛いタレとの相性が抜群だ。天タネの種類は店頭の掲示で確認できる

揚げたてさっくり、
旬素材の天ぷらを頬張る
 場内唯一の天ぷら専門店で、旬の天タネを大豆油とごま油をブレンドした油で揚げている。カラリと香ばしく仕上がった天ぷらに甘辛い特製タレがしみこみ、食欲をそそる。「本日の天丼」はプリプリのエビに、ほくっとした食感のキス、香ばしさがたまらない芝エビなど海の幸の天ぷら5品に、海苔やシシトウの天ぷらまでつく。これで1200円とはお値打ちだ。天丼に山椒をふるのもオススメ。味が引き締まり、最後までおいしくいただける。
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住所:築地市場魚がし横丁6号館
営業時間:7時〜14時(売り切れじまいの場合あり)
定休日:日、祝、市場休場日

小田保
かきミックス 1650円
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たっぷりのフライとバター焼きにライス、みそ汁がつく。牡蠣フライにはまろやかなタルタルソースもよく合う。牡蠣メニューは10月〜4月の限定品だ

粒選りの牡蠣から
濃厚な風味が広がる
 トンカツやフライに定評があり米の味にもこだわる定食店。冬の魚がし横丁で牡蠣を味わうのならば断然この店がオススメだ。こちらで出される「かきミックス」は、牡蠣のフライとバター焼きが各3個つく定食。まるまる太った牡蠣はいずれもひと口では口に収められないほどの特大サイズで、かぶりつくと牡蠣のエキスがじゅわっと口の中いっぱいに広がりたまらない。つけ合わせのポテトサラダもおいしく、満腹になること間違いなしだ。
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住所:築地市場魚がし横丁6号館
営業時間:4時〜13時
定休日:日、祝

大和寿司
おまかせ 3780円
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ケンサキイカ、車エビ
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中トロ、カンパチ、玉子
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巻き物、ウニ
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穴子
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大トロ
この日のウニは、北海道・国後のバフンウニだった。巻き物は、鉄火巻きとイクラ巻き。苦手な食材を申し出れば快く対応してくれる。1貫400円前後から追加もできる

折り紙つきの高級ネタを
心ゆくまで楽しめる
 魚がし横丁内で「寿司大」と並んで絶大な人気を誇る寿司店だ。おまかせ1人前は、にぎり7貫と巻き物1本と玉子で3780円、煮切りつきのにぎりがテンポよく出てくる。初っ端の大トロから車エビやバフンウニなど高級ネタが揃い、満足度が高い。威勢のいい職人が外国人にも分け隔てなく話しかけるなど明るい雰囲気で、築地初心者にもオススメだ。客の回転は比較的早いが、平日朝でも1時間待ちは覚悟のうえでどうぞ。
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住所:築地市場魚がし横丁6号館
営業時間:5時半〜13時半
定休日:日、祝、市場休場日

やじ満
ニラ玉丼 900円
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エビやイカ、豚肉、タケノコなども入って具だくさん。ご飯の上にたっぷりとのるあんかけは、卵の甘みとダシの旨みが後を引くスープ付き

毎日通いたくなる
やさしい味の中華
 市場で働く人々が足しげく通う1948年創業の中華料理店。豚と玉ネギのみで作る「ジャンボ焼売」(2個300円)と種類豊富なラーメン、丼類を一緒に頼む人がほとんど。ソテーした大粒の牡蠣を使う冬季限定の「かきラーメン」(1200円)はスープにも牡蠣の旨みがたっぷり。
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住所:築地市場魚がし横丁8号館
営業時間:4時半~13時
定休日:市場休場日

高はし
あなご丼 2000円
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あっさりと上品な風味の穴子が、ごはんと海苔の上に盛られている。ワサビの風味もすがすがしい。みそ汁と小鉢つき。単品の「あなごやわらか煮」は1500円

目利きの信頼する名店で
ひとり酒を満喫したい
 市場関係者など数多くのプロが訪れる店。こちらで扱う魚介の質は目利きの保証つきだ。とくに煮つけはオーダーが入ってから調理を始めて最良の状態で客に出すため、ふくよかな味と香りが楽しめる。今なお氷で冷やしているという瓶ビール(大瓶700円)とともにじっくり賞味したい。
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住所:築地市場魚がし横丁8号館
営業時間:8時〜13時頃(売り切れじまいの場合あり)
定休日:日、祝、市場休場日
取材/松岡芙佐江、油野 崇、菜々山いく子

2016年11月7日に移転
いったいどうなる豊洲新市場
巨大流通センターを思わせる建物が姿を現し、少しずつ全貌が明らかになってきた豊洲新市場。あとは、築地からの移転Xデーを待つばかりとなった。気になる場内の「魚がし横丁」の行方から、計画が頓挫した商業施設まで、豊洲新市場の最新情報をお伝えいたします。

 トラックがあわただしく出入りする早朝の築地市場正門前。見上げると「築地から豊洲へ。新市場、始動」と書かれた横断幕が目に飛び込んでくる。築地市場は2016年11月2日に80年の歴史に幕を降ろし、4日間の移転期間を経て、11月7日には豊洲新市場が動き出す。
 豊洲新市場は築地市場から南に約2㎞。築地の約1.8倍という敷地では、水産卸売場棟、水産仲卸売場棟、青果棟などの建設工事がいまも急ピッチで進められている。
 移転計画が立ち上がってから約25年、ようやく実現した新市場誕生への期待が高まるところだが、実際はいまでも問題が多く、すんなりとコトが運ぶとは思えないのが現状だ。ある仲卸業者がいう。
「豊洲に行けば広くなる、といわれているけど、個々に与えられる売り場面積は築地と同じなんです。これまでは、なんとなくお隣さんと融通し合ってスペースを有効活用してきたけど、それもできなくなりそうだし、築地で使っていた冷蔵庫なんかもサイズが違うため使えない。移転だけで数千万円の出費ですよ」
 高齢で後継者のいない仲卸人のなかには移転を機に店をたたむ決意をした人も少なくない。東京魚市場卸協同組合の発表によると、豊洲移転までに622社中69社の仲卸が廃業するという。ハイテク化した流通センターに生まれかわる一方で、築地市場を支えた多くの人々が市場を去っていくことになりそうだ。
 築地はここ数年、外国人観光客の増加も相まって一大観光地としてさらなる盛り上がりを見せている。今回の豊洲移転では、一般客への影響はどうなるのだろうか?
(1)場内の飲食施設「魚がし横丁」の今後
 まず、気になるのは、行列店を数多く擁する「魚がし横丁」の存続である。飲食店と物販が所狭しと並ぶ"市場の顔"は豊洲でも楽しむことができるのだろうか? 横丁で寿司店を営む店主に話を聞いてみた。
「魚がし横丁は、11月7日にすべて豊洲に移転しますよ。飲食店の移転先はビルの3階と聞いています。窓もないビルの3階で、はたしてお客さんは来てくれるんでしょうか?」
 計画図面によると、魚がし横丁の飲食店は、ゆりかもめ市場前駅から続く歩行者専用デッキ直結の一角にそのスペースが確保されている。ターレー(荷物を運ぶ小型車両)が行き来する築地のように魚河岸の熱気を感じられる場所ではなさそうだが、観光客にはどう映るのだろう。
(2)新設される「千客万来施設」の行方
 豊洲新市場の観光の目玉として計画されていた「千客万来施設」。飲食店をはじめ、国内外の調理具店、都内最大の温浴施設まで備えた一大レジャー施設ができる予定だった。しかし’15年春、事業者である「すしざんまい」を経営する喜代村と大和ハウス工業が建設から撤退し、白紙に戻ってしまった。現在は事業者を再募集中で、事業者決定は’16年3月。豊洲新市場との同時開業は不可能となった。移転に沸く豊洲だが、当分は一般利用客が訪れる楽しみはなさそうだ。
(3)新市場は今までどおり見学できるのか?
 豊洲新市場は徹底した品質・衛生管理がなされるため、市場空間には一般客が入れない構造となる。計画図面には、マグロのセリや水産仲卸売場用の見学者通路が設けられているが、これらの通路もガラス張りのものになる予定。築地時代のように、セリを間近で見たり、陳列されている魚をながめたりという河岸の臨場感を楽しむこともできなくなる。
(4)築地場外市場はどうなる?
 最後は、玉子焼きや魚介類、串焼きなどの食べ歩きが楽しい場外市場。こちらはそのまま築地に残る。話が少し複雑なのだが、今回の築地移転は東京都が管轄する場内市場のみで、中央区が管轄する場外市場にはまったく関係がない話なのだ。
 移転する場内とは対照的に、場外市場の周囲では、築地の伝統と文化を残すべく、積極的な開発が進められており、’14年にはすでに「築地にっぽん漁港市場」という水産直売所が新設された。さらに’16年秋には「築地魚河岸」という新しいマーケットができ、築地でいままで通り商売をしたいという水産仲卸54社、青果仲卸6社が一般利用も可能な店を構える予定だ。規模は小さくなっても「築地らしさ」は、受け継ぐという心意気が感じられる。
 ’16年11月、世界最大の市場は新天地へと移っていく。日本の台所ともいえる巨大マーケットがどんな新しい顔を見せてくれるのかじっくりと見守りたい。
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豊洲新市場の完成予定図。手前の2棟が水産棟。右奥が青果棟だ
提供/東京都
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豊洲には市場内の見学用通路が設けられるが、築地のような臨場感はもう期待できないようだ
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築地市場。移転後の用地利用計画はまだ不明とのこと
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取材/油野 崇 撮影/西㟢進也 MAP/CARAVAN-Q
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