金本知憲新監督独占告白 アニキ改革で弱い阪神ブチ壊す!
2016.04.07
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「火中の栗」とは的を射た表現だった。そう言いながらもアニキは激務を引き受けた。育成も編成能力も12球団最下位。就任後すぐ、実感していた弱点に斬りこんだ。この男は、やる!
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絶対的守護神が
いなくなってもうた……!
 金本知憲監督(47)に早くも試練が訪れた。
 ’14年の首位打者・マートン(34)の退団は織り込みずみだったものの、’14~’15年のセーブ王、呉昇桓(オスンファン)(33)が賭博容疑で母国の韓国で在宅起訴され、阪神退団が決まった。
金本「スンファンが抜けたのはたしかに痛い。来季の抑えピッチャーは彼ありきで計算してたから。こんなコトもあろうかと、ドミニカ出身のマルコス・マテオ(31・前パドレス3A)を獲ったけど……わかんないね。ビデオだけは見たけど、外国人は実際に、投げさせてみないと。あと何人か獲るかもしれんね。オレがクローザーに求めるポイントはシンプル。球が速いこと、三振が取れること。この2点だけだから」
――5年目の松田遼馬(21)はイキのいい真っ直ぐを投げます。
「ストレートは速いけど、まあ、彼はまだまだよ。クローザーは経験が大切だから」
――4年ぶりに復帰した藤川球児(35)は経験も豊富ですが、先発に転向させるとスポーツ紙で報じられていました。
「香田勲男ピッチングコーチが球児に『先発の準備をしてくれ』と伝えたもんだから、スポーツ紙が『球児は先発転向』と書いとったけど、それは気が早いよ。先発の準備をしていれば、途中からリリーフに回れと言われても対応できる。逆は難しいけどね。だからまずは、先発として身体と気持ちを作っておいてください、ということ。球児には先発と抑え、両ニラミでやってもらいます」
――藤川とはアツく語り合ったそうですね。
「会(お)うたのは1回だけやけどね。語り合ったというても、8割がた、球児がしゃべっとったよ。まさに弾丸トークで、オレはただ、うなずいてただけ(笑)。球児は、
『先発でも中継ぎでも、手が足りないところをやらせていただきます。手術した右ヒジは問題ない。長いイニングを投げるスタミナもあります。やれる自信はあります!』
 と、とにかくアツかった。まずは春のキャンプでピッチングを見てから考えるけど……楽しみだね。ぜひ、自信の根拠を見てみたいね」
――抑えが不安な一方、先発は頭数だけはそろっています。実際、藤浪晋太郎(21)、メッセンジャー(34)、能見篤史(36)、岩田稔(32)は先発ローテ確定なんですよね?
「どうしても大谷(翔平・日本ハム)と比べられるけど、藤浪も十分スゴイよ。真っ直ぐの平均スピードが150㎞でしょう。シュート回転して中に入るクセもなくなったしね。’13年に10勝6敗、’14年に11勝8敗、’15年は14勝7敗。合計14も勝ち越してる。まだ21歳。大学やったら、3年生よ。彼には投手陣の軸となってほしいし、なれると思う。背番号と同じ、19は勝ってほしい。ウチのリリーフ陣と話したら、『金曜日に藤浪を先発させてくれたら助かる』と言うとった。火、水、木曜と戦ってきて疲労がたまったところで、金曜に先発投手が完投してくれたらリリーフは本当に助かるんやって。逆に言うと、完投能力のある先発は藤浪くらいしかいないって、チームのみんなが思ってるってことやな。基本的にローテーションは香田コーチと矢野(耀大(あきひろ)・一軍作戦兼バッテリーコーチ)に決めてもらおうと思ってます。特定のチーム、たとえば巨人だけにエース級をぶつけるようなローテーションは組まないでしょう。他の試合がフヌケになってしまうからね。シーズン終盤、優勝争いに加わっているときは別やけどね」
――先発5番手が悩みどころです。秋季キャンプで候補は見つかりましたか?
「紅白戦で3回パーフェクトをやった左腕の岩貞祐太(24)と、同じく左の島本浩也(22)がエエね。井川(慶)、能見のように伝統的に阪神は左投手が育つから。もっとも、能見はちょっと時間かかってしもたけど(笑)。香田コーチは、『ルーキーイヤーに5勝して、昨季も15試合に先発した岩崎優(すぐる)(24)を中継ぎで起用したらどうか?』と言うてくれてる。ロングリリーフができる左腕は貴重だからね。たしかに面白いアイディアだと思う」
――野手で「これは」という選手は?
「江越(大賀(たいが)・22)はチームで一番、スイングが力強い。振れるってことはすごく大事。横田(慎太郎・20)はあと2~3年かかるやろうけど、将来はトリプルスリーを目指せる素材だと思う。緒方(凌介・25)もいい。去年だったか、ベースを踏み忘れてアウトになった男です。長嶋茂雄さん以外にそんな大物がいるとは思わんかった(笑)。彼は変化球をうまくファウルできるから、バッティングがしぶとい。実戦向きよ。一軍経験のない高卒2年目のショート、植田海(かい)(19)は難しい球もさばけるし、捕ってからが速い。足も速いからスイッチヒッターにさせようと思ってる。2~3年後、かなり期待が持てるんじゃないかな。同じ遊撃の北條史也(21)は吸収力がスゴイ。練習すればするほど伸びるから、鍛えがいがあるよ」
――ショートには金本さんの連続フルイニング出場世界記録に挑戦中の鳥谷敬(34)がいます。
「オレが現役時代、鳥谷とチームメイトやったころ、アイツがキャプテン就任を要請されて、断ったことがあった。オレは鳥谷のそういう姿勢が不満やった。誰が見ても彼がタイガースの中心選手でしょ? そやのに『自分は人を引っ張るタイプじゃない』『プレーに集中したい』って……。あらためて自分がチームを引っ張るという自覚を持ってほしかったから、彼には『もう1年、キャプテンをやってもらうよ』と言いました。試合への挑み方も、毎日毎日の流れ作業的にやるんやなくて、もっともっと泥んこになって、ガムシャラにやってほしいと伝えた。彼ならできると信じているから。できない人間には言わないからね」
――鳥谷に「すべての成績が物足りない」と言ったというのは本当ですか。
「それと、『うまく打とうとしすぎてるんじゃないか』とも言いました。彼の身体能力からすれば、もっと強く、もっと大きく振れるはず。甲子園は広いからホームラン30本は難しい。とくに左打者は浜風がジャマするから。それはオレが身をもって経験してる。でも、彼なら20本は十分に打てるハズ。なのにいまの鳥谷は中距離打者と短距離打者の中間みたいな存在。もちろん、鳥谷自身も満足してないよ。
『自分も長打を狙ってみたいです。バッティングを見直したい。盗塁に関しても、もっともっと意識を高く持ってやっていきます』
 と言ってくれた。阪神は岡田(彰布)さん以来、生え抜きで30本以上ホームランを打った選手が30年間もいない。3割は誰でも打てるけど、3割30本打つのは難しい。でも、その可能性を持つ選手は絶対に目指すべきだと思う。結果、3割20本でもいいじゃない。鳥谷には数字、気持ち、背中、言葉と、すべてでチームを引っ張ってもらいたい」
――阪神にはもうひとり、高いポテンシャルを持ちながら発揮できない西岡剛(31)がいます。
「ちょっと体力が落ちてきてるね。右ヒジの故障もある。ただ、本人もそこは自覚している。最初のミーティングのとき、
『イチから身体を鍛え直して、セカンドで勝負したい。チャレンジさせてほしい』
 と自分から言ってきたから『いいよ』と返事しました。’15年は三塁を守っていたけど、
『サードは自分には向いてない。セカンドがダメだったら外野で勝負したい』
 とも言うてたね」
――同じく三塁手の今成亮太(28)には秋季キャンプでマスクをかぶらせました。彼も本職であるキャッチャーでもう一度、勝負させる?
「違う、違う。本職としてのキャッチャーじゃない。あくまで非常事態用よ。ベンチ入りできるメンバーは25人しかいないのに、どこのチームもだいたい、キャッチャーを3人入れている。これはもったいないな、と。今成にファームの試合でマスクをかぶらせて、万が一のときの"第三の捕手"として準備させておけば、そのぶん、野手を一人多くベンチ入りさせられる。積極的に代打が出せる。そういうこと」
――’16年シーズンは現有戦力の底上げとやりくりで戦うということですね。
「そうそう。だからFA補強をしなかった。何人かいい選手がいたけど、中日から高橋(聡文・32)しか獲らなかった。左のリリーフは明らかな補強ポイントだったからね。マートンが抜けた穴は大きいけど、若手に競わせる。『彼らにチャンスを与えるために、補強はほぼゼロでいきましょう』と球団と話してます」
――その支えとなるのがコーチ陣ですが、同い年で公私ともに仲がいい下柳剛氏(47)が入閣しなかったのは意外でした。
「オレがそうしたというより、一軍ピッチングコーチには香田さんが、すでにおられたからね。情熱的で野球に対してとても真摯だし、何より、他球団で投手コーチをしていた経験がある。オレと矢野が指導者1年生だけに、経験があるコーチがいるのは大きい」
――5年連続盗塁王に輝いた赤星憲広氏(39)は走塁コーチに適任では?
「彼の場合は身体がまだ厳しいんよ。引退の原因になった頸椎(けいつい)の状態が思わしくなくて、ノックもできない。今の状態じゃ、とてもじゃないけど、ユニフォームは着せられない。赤星は将来、必ず指導者にならなきゃいけない逸材。『手術をするなりして、少しでも早く治してほしい』と伝えたけどね」
――一方で二軍監督には掛布雅之GMDC(GMつき打撃コーディネーター)を据えました。
「これまではパートタイマー的に教えに来てもらっとったんだけど、できれば1年間通して若手の打撃を見てほしかった。プロ入りしてから自分で打撃をつくりあげたというプロセスがオレと共通しているし、何より、話していて『この人は古き悪(あ)しき感覚にとらわれてないな』と思った。たとえばウエイトトレーニングに否定的な人がいるけど、筋量が増えれば絶対にスイングスピードは上がる。そこを掛布さんは理解できる。経験則だけやなしに、柔軟な考え方を持っている」
――本来なら、オフは旅行やゴルフ漬けのハズが、監督就任で趣味の昼寝もできていない?
「現役のころは、昼寝をするためにわざわざ朝から練習して少し身体を疲れさせてからビールを飲んで備えるぐらい、好きでしたけどね。いまはとても……。ただ、ウエイトトレーニングは続けようと思ってます。ノムさん(野村克也氏)みたいな年輪を刻んだ方の貫禄はないから、体力で貫禄をつけようかなと」
――あらためて聞きます。マートンと呉が抜けて大幅に戦力ダウンすることは予想できていたし、好きなゴルフも昼寝もできなくなった。なぜ監督を引き受けたのですか。
「南さん(信男・前球団社長)の『2年連続最下位でも、3年目に優勝してくれたらいい。一回、チームを壊してでも、立て直してほしい。オレがタテになって守るから、2人で力を合わせていこう!』という熱意に押されてね。実際は2年連続最下位なんて、許されないけど」
――育てながら勝つ自信はある?
「野球はそんなに甘いもんじゃない。それは十分、わかってます。若手なんて簡単に伸びてこないから。たぶん’16年の阪神、かなり弱いですよ。もちろん頂点は目指すけど、正直、先は見えません……。一番の強敵は優勝チームのヤクルトやね。戦力で見れば巨人が一番。新人監督同士だし、勝ちたいとは思うけど、とくに意識はしてない。カープは野手がいい。若くてスゴく可能性がある選手がいっぱいいるので、そこらへんが一軍で活躍し始めると怖いね。カープの選手はほとんどが俊足ですし。まあ、ライバルは全球団ですけどね」

藤川を獲り
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あふれるトラへの愛ゆえに、復帰会見で思わず涙した。モノ言う投手リーダーが虎投を変える

鳥谷にカミナリ
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「ウエイトトレーニングをしないと気持ち悪くなる」と公言する鉄人2世。金本改革の目玉だ

今成を捕手に
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もともと打てる捕手で、金本氏はコンバートを惜しんでいた。新生阪神のジョーカーとなるか

次の一手は…
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センターとレフトを15人の若トラに競わせる。写真は金本&掛布期待の大砲・横田慎太郎だ
PHOTO 眞野公一
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