パナマ文書流出!海外で租税回避する日本人資産家リスト
2016.04.19
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セコム創業者 飯田亮氏は
700億円の資産を保有
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世田谷にある飯田氏の自宅。ほかにも軽井沢や伊豆の下田にも別荘を所有
 南ドイツ新聞と国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が暴露したいわゆる「パナマ文書」をきっかけに、税率の低い国や地域、いわゆるタックスヘイブンを利用した富裕層の資産隠しが国際的に問題になっている。
「現在、世界中からタックスヘイブンに流れ込むカネは少なく見積もって3000兆円。日本の国家予算の約30倍です。たとえば英領ケイマン諸島には、メガバンクを中心に日本企業がペーパーカンパニーを作っている。それらの会社が保有する金融財産は55兆円にも上り、アメリカに次ぐ世界2位の金額です」(横浜市立大学教授の上村雄彦氏)
 今回のパナマ文書は、タックスヘイブンでの法人設立を手がけるパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部文書が流出。各国首脳や著名人による国際的な租税回避の実態が明らかになった。
 アイスランドでは資産隠しを指摘されたグンロイグソン首相の辞任を求める2万人もの市民がデモを行い、同首相は辞任に追い込まれた。イギリスのキャメロン首相も、亡父がタックスヘイブンに本拠地を置く会社の経営にかかわり、巨額の資金を管理していたことが判明。
「一般の年金基金なども、タックスヘイブンで運用されている」
 と苦しい釈明をした。ロシアのプーチン大統領の親友や、中国・習近平国家主席の親族、北朝鮮の核開発関連企業の名前もあった。国際的に「格差拡大」に対する批判が強まるなかで、有力政治家たちがこぞって資産を隠し、節税を図っていたことが発覚し、市民の強い怒りを買っている。
 この混乱は、日本も無関係ではない。
 菅義偉官房長官は日本政府が捜査に乗り出すことは「考えていない」と否定したが、これまでにパナマ文書には400もの日本人や日本の企業の名前が記載されていることがわかっている。
 なかでも著名なのが、セコム創業者の飯田亮(まこと)氏(83)だ。
 ICIJの分析によると、飯田氏は90年代に共同創業者の戸田壽一氏とともに英領バージン諸島などにある法人を利用して、当時の価格で700億円相当のセコム株を間接的に管理。株の一部は、両氏の親族につながる現地の法人にそれぞれ譲渡されたという。タックスヘイブンでの取引は節税策として利用できる。
「当時、税制の違う国を利用した方法が富裕層の節税スキームとして大流行しました。たしかバージン諸島も贈与税がほとんどなかったはずです。おそらく飯田さんのケースは税務署に見せても大丈夫なスキームだったんでしょう。しかし、9.11以後、テロリストの資金源を潰すために規制が強化されるようになり、いまではあからさまな方法は通用しません」(タックスヘイブンに詳しい国際金融コンサルタント)
 現在も飯田氏が取締役最高顧問を務めるセコムは、今回の報道について、
「日本の税務当局から求められた必要な情報を随時開示しており、合法的に処理されていると聞いております」
 と回答するが、かつての「節税スキーム」の一端が今回、明るみに出たということだろう。
富裕層だけが知る手口
 パナマ文書の全容は5月に公開される予定だというが、そこで飯田氏以外に何人の日本人や日本企業の名前が挙がるか、注目されている。
 本誌は、金融庁に提出されている大量保有報告書などをもとに、海外に多額の資産を移した日本人経営者のリストを独自に作成した(下の表)。
 ドンキホーテHDの安田隆夫氏は、日本で新たに出国税が導入される直前の’15年7月に、家族とともにシンガポールに移住し、さらに多額の資産を第三国に移している。シンガポールは相続税がかからないため、近年、シンガポールに移住する日本人富裕層が激増している。相続税、贈与税がゼロの香港も、日本人には人気のタックスヘイブンだ。
 ユニクロの柳井正氏はオランダに設立した法人に「ファーストリテイリング」株を移しているが、オランダは株取引に税金がかからないため、富裕層の間ではよく知られた「節税スキーム」となっている。
 柳井氏には二人の息子がおり、同社の幹部として活躍しているが、’90年代に飯田氏がバージン諸島の会社で行ったのと似た節税対策を、柳井氏はオランダを舞台に行っていると言えそうだ。
「日本の税金が高いから、別の国に移住しようと考える人がいたら、これは節税と言えるでしょう。しかし、日本に住みながら、形だけ外国にペーパーカンパニーを作り、税金を逃れるのは節税ではない。租税回避は、社会に害を及ぼす犯罪的行為です。ただ取り締まる方法や法律がないだけなんです。今回のパナマ文書は氷山の一角です。まだ明らかになっていない資産が隠されています」(前出・上村氏)
 5月に公開されるパナマ文書の全データ量は2.6テラバイトと言われ、印刷するとトラック1000台分に上る膨大なものだ。5月末の伊勢志摩サミットでも、租税回避の取り締まりは大きな議題の一つになりそうだが、それより早く、辞任を強いられる首脳もいるかも知れない。
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飯田氏は石原慎太郎氏や文芸評論家の江藤淳氏とも交流があった
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問題の法律事務所。パナマ当局も調査を始めた
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PHOTO:結束武郎(飯田氏自宅) 産経新聞社(飯田氏) AP/アフロ(パナマ)
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