原発族への六つの手紙 吉原 毅(城南信用金庫理事長)
2014.02.12
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'55年東京生まれ。慶應大学経済学部卒業後、城南信用金庫に入庫し、'10年11月より現職。東京・五反田にある本店屋上にはソーラーパネルが備え付けられ、そのほか店舗の9割を大手電力会社に頼らない新電力で賄っている
Photo:濱﨑慎治
「責任を取らない東電など相手にする必要ない」
東日本大震災が起きた翌月、企業を挙げて脱原発に取り組むことを決めました。
お役所や政府、そしてマスコミが正しい方向を向いていれば、お任せして我々は金融業に従事すればいい。ところが、政治もマスコミも機能不全に陥っている。ならば、私たちが脱原発の実現に向けて動かなければならない、そう思ったのです。
周りの会社からは、「企業のやることではない」「金融機関は政治的に中立であるべきだ」と言われましたが、こんなものは全部言い訳。彼らは自分が犠牲になりたくないだけ。損するのがイヤなんです。さらには、「アクションを起こせば何を仕返しされるかわからない」なんて声もありましたが、政治資金が原発マネーで賄(まかな)われているかぎり、政治家はあてにならない。落選すればただの人であるはずの彼らの面倒を見てきたのが電力業界ですからね。
原発事故を受けての東京電力幹部の対応は目に余るものがありました。それはなぜか。彼らが社内政治を生き抜いてきただけの理念のない人たちだからです。
10~20人程度の小さな会社が東電と同じ失敗を犯したら、どの金融機関だってすぐさま取引停止です。自ら責任を取らない会社なんて相手にしません。そんな会社、発展するわけがありませんから。では東電はなぜ生き残っているか。ご存じのとおり、独占だからです。だからこそ現場を知らなくてもトップに立てる。そういう企業を支援することは不健全な社会を招いてしまうことになる。だから、東電の株式・社債はすぐにすべて売却しました。
関西電力が「電力が足りないので大飯原発を再稼働させる」と発表しましたが、実際には火力発電だけで24%も余っていたことがわかりました。ウソつき経営者を誰が信じますか。金融機関たるもの、自分の儲けのためならと、どことでも取り引きしていいわけありません。
ウチは儲けることだけを追求しません。お客様にリスクを押し付ける投資信託はやらないし、多重債務者を生むカードローンもやりません。人を不幸にしたくない。だから脱原発はきわめて自然な動きなんです。そもそも、金融機関はお客様のリスクを減らすためにあるわけですから。
HOT WORD: 原発
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