三菱グループ最高機関「金曜会」機密会合の現場
2016.05.24
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三菱自が日産傘下に入ると報道された翌日、グループ29社の会長、社長が集結
御三家
三菱商事 垣内威彦 社長
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資源価格の下落で今年3月期の最終損益はマイナス1493億円。創業以来の赤字に転落

三菱重工業 大宮英明 会長
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重工は三菱自動車の筆頭株主だった。今年3月期の決算では純利益が前年同期比42.2%の大幅減となった

三菱東京UFJ銀行 平野信行 会長
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マイナス金利政策や円高の影響で三菱UFJフィナンシャル・グループは’17年3月期に1000億円規模の減益を見込んでいる
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
 燃費偽装問題で揺れる三菱自動車の相川哲郎社長(62)は三菱のトップらを前に頭を下げ、「これで失礼させていただきます」と言って10分足らずで退席した――。
 5月13日金曜午前11時45分頃、東京・丸の内にある三菱商事本社ビルの地下駐車場に黒塗りの高級車が次々と吸い込まれていった。
 その数およそ30台。ベンツやレクサス、センチュリーに交じって、三菱自動車の最高級車種ディグニティやワンボックスカー・デリカの特注車も現れた。4人の警備員に加え、誘導担当の職員や三菱商事の広報担当者数名が姿を見せ、物々しい緊張感があった。
 同社ビルの最上階、21階で毎月第2金曜日に開催される三菱グループトップが一堂に会する「三菱金曜会」の定例昼食会。メンバーは三菱グループのなかでも選び抜かれたトップ企業29社の会長、社長である。
「三菱は財閥系のなかでは最もグループの結束が強い。金曜会は、名目上は親睦団体ですが、まったく取材に応じないため、実態はベールに包まれています」(ノンフィクション作家の児玉博氏)
 金曜会は三菱グループの最高機関と言われ、その内容が公にされることはない。議事に関しても、「三菱グループ各会社のどの広報担当も把握していない」(三菱グループ某社の広報担当者)という。
 会は12時に始まり、サラダ、カレーライス、デザートといった簡単な昼食を済ませ、議事に入った後、1時間程度の講演を聞いて、13時半には散会となる。会の世話人代表はグループの「御三家」と呼ばれる三菱商事、三菱重工、三菱東京UFJ銀行のトップが持ち回りで務め、現在は同銀行の平野信行会長(64)である。
「議事ではグループ全体にかかわる、各社の海外プロジェクトやスリーダイヤの商標の問題などについて報告事項が読み上げられます。自社の業績を左右するような議題を金曜会で決議できるわけではありません。しかし、スリーダイヤのブランドが失墜するような重大な危機の場合は結束して対応することになります。リコール隠しやタイヤ脱落事故が発覚し、’04年に三菱自動車が深刻な経営危機に陥った際には、三菱グループによる支援の方向性について金曜会の同意をとりつけた」(全国紙経済部記者)
 今回は前日に三菱自動車が日産と共同会見を開き、事実上日産の傘下に入ることを発表していた。三菱自動車の相川社長の実父で、’96〜’99年に同会世話人代表を務めた三菱重工相談役の相川賢太郎氏(88)がグループによる救済を明言していたこともあり、金曜会の動向にメディアの注目が集まっていた。
 しかし結局、金曜会が動くことはなかった。
「本来であれば、今回の三菱自動車の救済も御三家が主導しなければいけない。しかし、3社はどこも決算状況が悪い。特に重工は惨憺たるもので、三菱自動車の救済にまわる余力がないんです。また三菱商事の幹部は不正発覚後、三菱自動車の益子修会長(67)に『一切コメントしないように』と注文をつけたそうです。三菱商事出身の益子会長が矢面に立つと商事が救済の主導権を握らされてしまうからでしょう。御三家は自分たちにお鉢がまわってくるのを恐れて静観していたんです」(前出・児玉氏)
 12時15分頃、相川社長を乗せた三菱自動車のSUV車アウトランダーだけが先に出てきた。同社の益子会長は欠席だったという。
 100年以上の歴史を誇る名門企業グループは今回、三菱自動車の危機を救えなかった。「金曜会」はその役割を終えつつあるのか――。

三菱電機 柵山正樹 社長
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三菱マテリアル 竹内章 社長
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東京海上日動火災保険 永野毅 会長
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三菱地所 杉山博孝 社長
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三菱自動車工業 相川哲郎 社長
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キリンホールディングス 磯崎功典 社長
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金曜会において、御三家に次ぐ存在なのが、三菱自動車を除く上写真の5社に三菱UFJ信託銀行、三菱化学、日本郵船、旭硝子、明治安田生命を加えた主要10社。このうち6社(毎年2社入れ替わる)が御三家と「世話人会」を構成し、金曜会の議事内容を事前に話し合う
PHOTO:時事通信社(垣内社長) 結束武郎
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