上海発 習近平のポスター500枚で立ち退き要求を撃退
2016.06.07
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市も解体業者も「不敬」を恐れて手を出せず
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市の要求に対するAの反抗は海外でも報じられた。地方から見物客が押し寄せ、店は観光名所になっている
「オレの店を壊したら不敬罪だぞ!」
 中国上海市の中心部、閔行(ミンハン)区で食堂を営む男性Aは、立ち退きを求める役人が来るたびに怒鳴り散らしている。
「お願いです。なんとか国家主席のポスターをはがしてくれませんか……」
 役人の話に耳をかさず、Aは「さっさと帰れ!」と強硬な姿勢を崩さない。
 閔行区では昨年から再開発が進み、高層ビルの建設が進んでいる。住民は当局の指示で強制退去。古い民家はかたっぱしから壊されている。Aが営む食堂にも今春、市から立ち退き要求と解体通告書が届いた。父親から受け継いだ店舗を手放したくないAは、同じ長屋内の飲食店経営者たちと一計を案じる。「偉大なる最高指導者」と書かれた中国の国家主席、習近平氏のポスター500枚超を、一晩かけて建物の外壁全体にベタベタ貼ったのだ。
 現代の耳なし芳一。効果はあったようで翌日、役人からの依頼を受けた解体業者はAの店を訪れ仰天した。中国では習氏の写真をキズつければ、不敬行為として逮捕されかねない。解体業者は罪に問われるのを恐れ、作業できなかった。
「結局、Aさんは役人を撃退しました。これまでどおり店を営業してよいとの念書を書かせたんです」(地元紙記者)
 当局は模倣者が出るのを恐れ、ネット上にアップされたAの店の画像を見つけしだいすべて削除している。
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ポスターを貼る前の姿。建物内には大衆食堂や青果店などが入っている
PHOTO:AP/アフロ
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