鈴木敏文名誉顧問 それでも爆買いの「セブンイレブン愛」
2016.06.13
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自宅から徒歩3分の直営店に毎週顔を出し
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午前11時ごろ、買い物を終え出ていく鈴木氏。これまで全商品を試食してきたという
「コンビニの父」と言われた鈴木敏文氏(83)の、衝撃の退任発表から約2ヵ月。長年使いなれた本社9階の会長室を明け渡し、懸案だった肩書は「名誉顧問」とすることで決着した。
 今後、セブン&アイ・ホールディングスに鈴木氏の影響力がどの程度残るかが注目されている最中、都内のセブンイレブンにその鈴木氏の姿があった――。
 高級住宅地にある店舗の動きが慌ただしくなったのは6月初めの週末の午前10時半。女性店員が現れ、店の前の小さなゴミ屑を丹念に拾い始めた。
 その20分後、黒のショルダーバッグを提げた鈴木氏が現れた。
 5分ほど店内に滞在した後、両手に丼物などがいくつも入った大きな買い物袋を持ち退店した。店長に見送られ、歩き始めた鈴木氏に話を聞いた。
――毎週、来られているのですか。
「日曜はたまにスポーツクラブに行くので帰りに、ええ」
――いまもお店の状況は気になりますか。
「そうですよ。いまでも関係していますから。井阪(隆一現社長)君とも会社でしょっちゅう話しますよ。私は常に先を見て、5年先10年先がどう変わるかを考えています。そのためにはいまどういう手を打たなければいけないのか。だから、そういう人を育てるというふうに考えているんでね。セブンが成功したのはお客様の立場でものを考えたからです」
 こう語り終えた鈴木氏は「どうも失礼します」と言い残し、自宅へ戻った。
 日本全国で1万8768店舗のセブンイレブンのうち、直営店はわずか470店舗。このセブンイレブンは鈴木氏の自宅から徒歩3分ほどの距離にある直営店で、セブンイレブン社員が店長を務めている。
「会長時代の鈴木さんは休みの日に近くの店に行って、お弁当などを買って食べるんです。『味が落ちた』と思うと、すぐに会社に電話をして、20分後には日本中の店からその商品が撤去されたこともあります」(ジャーナリストの勝見明氏)
 これまでにも鈴木氏のチェックを受け、ロースカツ丼やチャーハン、冷やし中華などの商品が「改善」されたという。
「鈴木さんの行動範囲にある直営店の店長になるのは大変なことなんです。ふらりと店を訪れ『どうなんだ』と商品の売れ行きなどを質問されます。煮物など、普段あまり意識していない商品の在庫について聞かれたとき、対応できないと、すぐさま近くにあるオーナー経営のフランチャイズ店もチェック。鈴木さんが思っているような数字じゃなかった場合は、週明けに幹部社員らに雷が落ちるんです」(セブンイレブン関係者)
 グループトップに24年君臨し続けたカリスマのセブンイレブン愛は、いまも健在のようだ。
PHOTO:坂口安子
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