飛行訓練費は自己負担! 大韓航空「操縦士流出が止まらない」
2016.06.14
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羽田空港エンジン出火は
氷山の一角!
ナッツ姫事件以降
いいことナシ!
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羽田空港でエンジントラブルを起こした大韓航空機。この事故の影響で406便が欠航し7万人以上に影響が出た。同社では機長であるKPUの委員長が、「業務をサボった」として副機長に降格させられるなどの労使間トラブルが多発している
「事故は、会社の整備予算削減による必然的な結果だ。当社の航空安全が、非常に危険なレベルに達したことを示している」
 6月3日、大韓航空の操縦士労働組合(KPU)は、経営陣を厳しく批判する声明を発表した。KPUが指摘した"事故"とは、5月27日に羽田空港で起きた同社旅客機の左翼エンジンからの出火トラブルだ。離陸滑走中に火が出て、乗客乗員319人が緊急脱出。そのまま離陸していたら、大惨事になりかねないトラブルだった。原因は究明中だが、あるKPUの組合員は「事故は氷山の一角にすぎない」と話す。
「経営陣は経費をケチって、安全をおろそかにしているんです。’12年に9427億ウォン(約848億円)だった航空機の整備費用は、’14年には8332億ウォン(約750億円)と1100億ウォン(約99億円)も減っています。1回の運航あたりの整備時間も、同期間で8.3%減少。一方、整備不良によるエンジンの不具合で離陸中止や不時着に追い込まれるトラブルは、この2年間で少なくとも5件起きています。いつ大事故が発生してもおかしくない状況なんです」
 事故多発の要因は、整備上の問題だけではなさそうだ。相次ぐトラブルで経営陣との溝が深まり、操縦士のモチベーションが年々下がっているというのだ。昨年8月には、大韓航空の元操縦士7人が同社を提訴。自己負担とされた、総額1億9000万ウォン(約1710万円)の飛行訓練費の返還を求めている。
「7人の操縦士は’04年から’05年にかけて、飛行訓練を受けていました。大韓航空が立て替えていた訓練費用は、10年間勤務すれば返済義務を免除されるという契約です。しかし7人は勤続10年に満たない’13年から’14年の間に退社したため、大韓航空は未返済金を払うよう要求。これに対し7人は、そもそも契約は会社から強要されたもので無効だとし、自分たちが負担した訓練費の返還を求めたんです」(韓国紙記者)
 対立はこれだけではない。大韓航空は’16年第1四半期に、過去最高の営業利益3233億ウォン(約291億円)を記録した。KPUは過重労働なども加味し、「操縦士の年俸5000万ウォン(約450万円)アップ」という要求を会社側に提出。だが趙亮鎬(チョヤンホ)会長(67)は、フェイスブックに次のように書き込み従業員を牽制(けんせい)したのだ。
「操縦士は飛ぶか飛ばないかを決めればいいだけなのに、なにが過重労働だ」
「オートパイロット(自動操縦システム)は車の運転より簡単。イヌにも笑われる」
 KPUは侮辱罪と名誉毀損にあたるとし、今年5月に趙会長を提訴した。
 こうした労使紛争に嫌気がさしたのか、大韓航空では操縦士の大量流出が止まらない。他社に移籍した操縦士は、’14年に16人だったが、’15年はなんと122人にのぼるのだ。ジャーナリストの高月靖氏が語る。
「’14年12月のナッツ姫事件(趙会長の長女・顕娥(ヒヨナ)氏が乗務員の対応に激怒し土下座させた騒動)以来、大韓航空では良いニュースがありません。趙会長が長男を副社長にするなど社内の重職を身内で固めているうえに、現場の人たちを軽視するような事例が次々に判明しています。労使紛争は、ますます激しくなるでしょう」
 堂々と「労使の問題と羽田空港の事故はまったく関係ない」と表明する大韓航空の視界は、クリアなのだろうか。
PHOTO:毎日新聞/アフロ
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