税金414億円かけて無用の長物!汚染ゴミ焼却炉、稼働せず
2016.06.12
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3ヵ月で故障し、廃棄物3万tも放置したまま!
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飯舘村蕨平(わらびだいら)地区にある焼却施設の全景。灰にした汚染ゴミから放射性物質のセシウムを取り除き、盛り土の材料などとして使えるようにするという
 東京ドーム5つ分、26万4000㎡の広大な敷地に建つ2基の巨大施設――。
 これは環境省が、414億円の税金を投入して福島県飯舘(いいたて)村に建設した最新鋭の焼却炉だ。福島第一原発事故による除染作業で出た汚染ゴミを、一日240tのペースで焼き、安全に灰にする。そんな復興への期待の施設が、今年1月から本格稼働している……ハズだった。しかし伊達市で避難生活を送る村民は、怒りを通り越してあきれている。
「たまに荷物を取りに村に帰りますが(同村では来年3月に住民が帰還予定)、いつ見ても焼却炉がまともに動いている気配がない。保管場所が確保できず、放射能まみれの黒いゴミ袋は民家の玄関先にまで置かれています。来春に避難指示が解除されても、ゴミは村中にあふれているんですかね」
 焼却施設では、3年間で36万tの汚染ゴミを処理する計画だ。だが、これまでに焼却したゴミはわずか6000tほど。トラブル続きで、稼働からわずか3ヵ月で運転が停止してしまったのだ。原因となった事例は複数ある。以下は環境省から説明を受けた、飯舘村の報告書の記述だ(原文ママ)。
「①湿った廃棄物が粘土状になり、回転刃等に付着し(ゴミを)裁断できない。②可燃フレコンバック(大型の袋)に金属物、コンクリート殻などの不燃ごみ混入があり、破砕(はさい)できず支障が生じている……」
 破砕機を交換するなど、こうした故障の改修工事が終わるのは9月末になる。それまで作業はすべてストップし、村内の仮置き場には廃棄物約3万tが放置されるのだ。飯舘村の佐藤八郎村議が憤(いきどお)る。
「ゴミが湿っていたり不燃物がまじっていることなど、素人でも稼働前に想定できます。それなのに国はなんの対策もとってきませんでした。国は年間20ミリシーベルトまで被曝(ひばく)しても、健康に影響がないという。だから村民の生活する場所の近くに放射能汚染物があっても大した問題でないと考え、焼却施設の対応もズサンなのでしょう」
 多額の税金をつぎ込んだ施設だ。環境省は丁寧に事情を説明すべきだろう。だが実際には、運転中止を村に報告しただけ。同省の出先機関である福島環境再生事務所の担当者は、本誌の取材に対し「お答えすることはできません」と返答するのみだ。環境省は次のように回答した。
「処理対象物が当初の見込みより湿っており効果が低下したため、破砕機を入れかえることにしました。設備が止まっても3年程度で処理を終了するスケジュールに変更がないよう、できるかぎり迅速に対応します」(廃棄物・リサイクル対策部)
福島県内では住宅隣接地、学校や幼稚園内、公園など、住民の生活する約12万7000ヵ所に汚染ゴミが放置されている。
撮影・取材/桐島 瞬(ジャーナリスト)
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