「6000億円上場」LINE創業者たちの正体
2016.06.28
LINEで送る

[singlemenu][ptitle]
東日本大震災を機に開発、役員の報酬はなんと52億円!
image
原宿にあるLINEショップ。キャラクターグッズなどが販売されている
 ’11年3月11日の東日本大震災当日、ある海外企業の会長が日本にいた。
 韓国のITベンチャー、ネイバー会長のイ・ヘジン氏(49)だ。
「イ会長は念願の日本進出のため、たびたび日本を訪れていました。震災の混乱のなか、ネイバー本社の人間はイ会長に連絡を取ることができず、大混乱になった。イ会長は『オーナーである自分の安否を確認できないなんて』と怒り心頭で、既存の通信手段以外のツールが必要だと痛感したそうです。震災の3ヵ月後、会長の思いが結実し、日本の子会社が開発した新しいアプリが、『LINE』でした」(LINE関係者)
 いまやスマホユーザーなら使っていない人はいないメッセンジャーアプリ、LINE。
 日本だけでなく台湾、タイ、インドネシアなど東南アジアを中心に爆発的に普及し、登録者数は累計10億人とも言われる。
 7月15日に予定される日米同時上場で時価総額は6000億円に上ると予想され、役員の一人であるシン・ジュンホ氏(44)の報酬が52億円を超えることでも話題になった。
 絶好調に見えるLINEを作ったのはどんな人物なのか。そして、LINEの未来をどのように描いているのか――。
「日本では前CEOの森川亮(あきら)氏(49)のイメージが強いですが、実質的な創業者はイ氏とシン氏です。森川氏は韓国のネイバー本社からは『部長』扱いされていました」(前出・LINE関係者)
 イ氏は’90年に「韓国の東大」と言われるソウル大学のコンピュータ工学科を卒業し、韓国科学技術院で修士号を取得。’92年にサムスン系列の会社に入社したが、’99年に独立・起業し、検索事業で大きな成功を収める。
「イ氏はM&A(企業の買収と合併)を繰り返し、カフェやブログ事業など多分野展開に成功した。人前に出るのを嫌い、’01年から’13年までの間、いっさい公の場に登場しなかった」(経済誌記者)
 イ氏は’00年に日本にも進出したが、グーグルやヤフーなどの米企業に圧倒され、’05年にいったん検索事業から撤退。その後も日本市場では苦戦が続いていた。
「当時、日本法人は韓国本社が稼いだおカネを使って経営を続けている状態でした。’10年にライブドアを買収するなど、新規事業を模索していた。そんな中、イ氏が日本に送り込んだのが腹心のシン氏でした」(前出・経済誌記者)
 シン氏は検索エンジンを有するベンチャー「チョッヌン」の創業メンバーの一人でCTO(最高技術責任者)を務めており、凄腕エンジニアとして韓国では有名だった。’06年にグーグルとの争奪戦の末、イ氏が同社買収に成功したことから二人の関係が始まった。
「’08年6月、シン氏は検索事業のトップとして来日しました。着任当初から熱心に日本語や日本文化を学び、LINEの方向性を研究していた。彼がいなかったら、ここまで普及しなかったでしょう。上場を前に、52億円の"成功報酬"は高くない」(前出・LINE関係者)
 シン氏の奮闘で巨額上場に漕ぎつけたLINEだが、死角はないのか。
「LINEは’15年12月期決算で79億円の赤字が判明するなど業績面で陰りが出てきています。ただ、今後音楽配信やゲーム、金融などの手段で、囲い込んだユーザーを収益につなげられれば、企業として化ける可能性がある」(経済評論家の山崎元氏)
 イ氏は’13年、記者会見で韓国メディアに対し、
「急速に変化する業界のため、5年後にどうなっているのかもわかりません。ノキアやマイクロソフトの立ち位置の変化を見れば明らかです」
 と危機感を口にしていた。
 LINEは今後、フェイスブックなど欧米の巨大企業に伍して、世界企業に成長できるのか。二人の若き天才韓国人経営者の手腕にかかっている。
image
シン氏。イ会長と同じ韓国科学技術院出身だ
image
ネイバー本社。韓国では検索事業で圧倒的シェアを誇る
image
会長のイ・ヘジン氏。資産は972億円に上るという
PHOTO:會田 園(LINEショップ) SPORTS KOREA(シン氏、ネイバー本社) アフロ
LINEで送る