【短期集中連載】ヤバい、ヤバすぎる!世界の危険地帯に潜入ッ! 第1回 ケニヤのスラム島
2016.06.29
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ミギンゴ島は岩石のみで土がない。平地がないため足場を組んで小屋を建てている。風呂やトイレは湖岸まで行って済ませるというが、汚物は海流によって流され、島のまわりの水質は綺麗なのだそうだ。
 アフリカ最大の湖であるビクトリア湖に浮かぶミギンゴ島。この小さな島は全体がスラムになっている。これまで世界各地のスラム街を取材してきたが、これほど特異な場所は他に見当たらない。ほぼ岩だけの島に四角いバラックのような建物が所狭しと建てられているのだ。
 島へは、小さな漁船で2時間かかった。取材許可を持っていたのだが、なぜか島での取材は許されず、それどころか、上陸と同時に警察に拘束され、一昼夜外に出ることも許されなかった。異様な緊張感が走ったが、翌日、わずかな時間だが、取材許可が出た。
 ミギンゴ島は漁師たちの島だ。ビクトリア湖での漁業の拠点になっており、獲物は、大きいものだと200㎏近くにもなるナイルパーチという巨大魚。島には、多い時で約1000人が暮らしている。私が上陸した時は300〜400人という感じだったが、サッカー場4分の1(約1800㎡)ほどの島に対し、明らかに人口が釣り合っていない。島にはホテル、雑貨屋、床屋、服屋、携帯電話屋、変わったところでは"充電屋"という店もある。
 島内には男だけでなく、子どもや若い女の姿も見かけた。女性は「飲み屋をやっている」というのだが、とても飲み屋だけで生計を立てているようには見えなかったので、さらに質問をしていると、別の島民が「ここにいる漁師は男だ。な、わかるだろ?」と鋭い口調で言葉を挟んできた。どうやら、彼女たちは売春婦も兼ねているようだ。その後、飲み屋の前の道には使用済みのコンドームがいくつも落ちているのを見かけた。
 この島の最大の脅威は海賊による被害だという。島民が語る。
「彼らは、所持品、漁具、時にはエンジンまで狙って来るんだ」
 実はアフリカでは携帯を使った電子送金が盛んで、現金を持ち歩く人は少ない。そのため、海賊は換金しやすい機材などを中心に奪って行くのだという。
 さらに別の問題もある。ビクトリア湖上にはケニヤ、ウガンダ、タンザニアと3つの国の国境線が交じり合っている。特にミギンゴ島はこの3つの国境に近い。そのため住人も多国籍であり、ケニヤ領のはずのこの島にはなぜかウガンダ警察も同時に常駐している。良い漁場を持った巨大湖上の要衝はそれぞれの国にとっても重要な存在になっている。地理的にも政治的にも緊張感のある場所だと言えるかもしれない。
 アフリカの巨大な湖に浮かぶ小島。ここで獲れるナイルパーチは、弁当の中に入っている白身魚のフライとして日本でも食べられている。異様な姿の島は意外なところで我々と結びついているのだ。
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島のメインストリート。両脇にはバーやビリヤード場、雑貨屋が並ぶ
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ビクトリア湖に生息するナイルパーチという巨大魚。加工して輸出される
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飲み屋の女たち。酒だけではなく、体も「有料」で提供している
写真・文/丸山ゴンザレス(危険地帯ジャーナリスト)
丸山ゴンザレス 世界の危険エリアを取材するジャーナリスト。TBS系『クレイジージャーニー』に出演。近著に『アジア罰当たり旅行(改訂版)』(彩図社)がある
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