ロッテ 重光昭夫副会長「銀座で豪遊」は余裕の表れか、それとも…
2016.07.05
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株主総会では兄・宏之氏を返り討ちにしたが、韓国では裏ガネ捜査進行中
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夜9時半ごろ、高級クラブを後にする昭夫氏。見送りの女性としばらく談笑するなど、終始上機嫌だった
 酔客でごった返す金曜夜の東京・銀座。客単価は一人5万円以上、夜ごと経営者、著名人が集まる日本を代表する超高級クラブのドアが開いた。
「今日はありがとうございました」
 そう言って頭を下げる美女に見送られ、ロッテホールディングス副会長・重光昭夫氏(61)は、笑顔で迎えの高級車に乗り込んだ――。
 カリスマ創業者・重光武雄氏(93)の後継をめぐる、兄・宏之氏(62)と弟・昭夫氏の争いが激化している。
 これまでは昭夫氏の優勢で進んでいたが、ここに来て韓国ロッテで横領などの裏ガネ疑惑が浮上し、事態が急変。6月10日に韓国検察がロッテ幹部宅の家宅捜索に踏み切り、役員の一人が逮捕された。今後、捜査の手が昭夫氏ら最高幹部にまで及ぶのか注目されているのだ。
 韓国国内ではすでに、24人もの幹部社員に出国停止が命じられている。18日に開かれたロッテ財団の理事会に出席した宏之氏は、
「(裏ガネ問題は)昭夫が疑惑の中心であり、今後、逮捕される可能性も示唆されている。早く韓国に戻って国民に謝罪をすべきだと思っています」
 とまで言い切った。
 日韓ロッテグループを統括するロッテホールディングスの株は、宏之氏が代表を務める重光家の資産管理会社・光潤社が約30%を保有。一方の昭夫氏は、自身が持つ2%弱の株とともに、約30%の株を有する「従業員持株会」を支配下に置いてきた。
トラック7台分の資料押収
 昭夫氏は、この「持株会」によって経営権を保持しており、復権を図る宏之氏はそれを何とか切り崩そうと、持ち株会を構成する社員約130人への接触・切り崩しを行っていた。
 そこへ、前述のような韓国検察の捜査が始まり、ロッテグループは大きく揺れているという。
「韓国検察は、約200人の捜査員を投入して裏ガネ問題の捜査を行っています。韓国ロッテ本社や関連会社など、17ヵ所を家宅捜索しており、トラック7台分の資料を押収している。これは明らかに、検察が本気になっているということです。仮に昭夫氏の逮捕には至らなかったとしても、他の役員たちが検挙される可能性は十分にある。そうなれば、経営は致命的な打撃を受けることになります」(韓国企業の事情に詳しい恵泉女学園大学准教授の李泳采(イヨンチェ)氏)
 従業員の一部にも、昭夫氏を担ぎ続けていいのか、戸惑いが生じているという。
 昭夫氏は騒動勃発後、自らを支持する勢力を固めることで、3度にわたる株主総会を乗り切ってきた。兄・宏之氏の株主提案はいずれも否決されているが、今後の捜査の進展次第で「大逆転」もあり得る情勢になってきた。当の昭夫氏はいま、冒頭のように銀座で豪遊したり、連日のように知人と会食、スポーツジムに通っているが、内心は穏やかではないはずだ。
「昭夫さんは以前から宏之氏を侮っていて、『兄に経営能力があると思っているんですか』と放言していた。まさか自分の足元に火がつくとは思っていなかったでしょう」(ロッテ元幹部)
 一方の宏之氏は、6月25日に開かれた株主総会後、詰めかけた報道陣にこう語った。
「ロッテグループ全体を揺るがせている一連の疑惑について、代表者(昭夫氏)の自宅まで家宅捜索を受けておきながら、現経営陣はこれまで何ら責任ある対応をせず、また、この先も期待できません。現経営陣は混乱した状態のなかで何とか乗り切ったと考えているようですが、その綻びはもはや明らかで、経営刷新の実現まで時間の問題です。次回の臨時株主総会では、必ず勝利します」
 果たして、兄弟ゲンカの潮目は変わったのか。昭夫氏は、日本の投資家たちとの会合を重ねた後、7月初めに韓国に帰国し、「堂々と不正資金疑惑を解きたい」と裏ガネ疑惑の説明と謝罪を行う予定だ。
 銀座で見せた笑顔は余裕の表れか、それとも重圧から逃れるための束の間の息抜きだったのか――。
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宏之氏は株主総会後、「社員の気持ちを考えると心が痛む」と語った
PHOTO:結束武郎(宏之氏)
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