マカオから小型ジェットで金塊112kgを密輸した(暴)の新ビジネス
2016.08.02
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元JAL社員の自称"パイロット"は共犯で逮捕
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長野社長は福岡の名門県立高を卒業後、青学大理工学部を経て日航に入社。HPに自分の写真を多数掲載
 世界の金融エリートやハリウッド・セレブが愛用する豪華プライベート・ジェット、ガルフストリームG200。
 那覇空港に到着した同機の通関作業のため、沖縄地区税関支署の職員が機内に入った。乗客は、とても金融マンに見えない短髪の男が二人。しかも、4つの巨大なスーツケースを残したまま、飛行機を降りようとした。不審に思った職員が「これはなんですか?」と聞くと、
「オレのじゃない」
 などととぼけたため、沖縄県警に通報。スーツケースには、112㎏、4億8000万円相当の金塊がぎっしり詰め込まれていた。国内初の、「プライベート・ジェット金塊密輸事件」が摘発された――。
 今年6〜7月、警視庁と沖縄県警は広域暴力団稲川会の三次団体の若頭・松田登志幸(としゆき)容疑者(44)、同組幹部の泉裕明容疑者(44)、同組組員の瀬戸広大容疑者(32)の3人を逮捕した。
 松田若頭が一連の密輸を計画し、泉、瀬戸の両容疑者が実際にマカオで大量の金塊を調達、プライベート・ジェットに乗って那覇まで運んだ容疑だ。
儲けが確実な"シノギ"
「香港、マカオでは金塊(金地金)の売買に消費税がかからないため、マカオで買った112㎏の金塊を日本で売るとそれだけで単純に約3800万円儲かる。
 泉らは過去30回以上の香港、マカオへの渡航歴が確認されており、同種の犯罪を繰り返していた可能性が高い。一回あたり数百万円でジェット機をチャーターしても、かなりの儲けが残る。それが暴力団の資金源になっていたようです」(全国紙警視庁詰記者)
 プライベート・ジェットは定員数人〜数十人程度で、目的に応じて自由に飛行する。通関、検疫は税関や空港の職員が飛行機に乗り込んで行うが、比較的チェックのユルい那覇が狙われたと見られる。
 今回の事件では、ジェット機を運航していた航空会社「ジャパンジェットチャーター」の長野順一社長(65)、問題のジェットを操縦していた機長、副操縦士、航空整備士も逮捕された。
 警視庁捜査員は長野社長について、
「共謀している人、という認識だ」
 と話し、あらかじめ金塊の密輸という目的を知らされていたことを示唆した。
 元日本航空社員の長野社長は、’01年にジャパンジェットチャーターを創業。
「元日航パイロット」と自称して講演、テレビのバラエティ番組にも出演していた。タレント・中川翔子と広告代理店のチームがCM撮影で同社のジェット機を利用したとして、同社のホームページには長野社長と撮影スタッフ、中川の集合写真を掲載している。
 しかし長野社長を知る元日航幹部からは、経歴に疑問の声も出ている。
「長野さん? 彼は、予約受け付けの部署にいました。リザべーションセールス部。元々パイロット志望で、パイロットになりたいという思いが強い人でした。仕事の面では標準以上で、身なりに気を遣うタイプでしたね」
 実際、本誌が入手した’90年代半ばの同社の名簿でも、「福岡支店企業販売グループ在籍」となっている。技術総本部を最後に’01年に日本航空を退社、ジャパンジェットチャーターを創業した。
 同社は会社設立当初、苦戦が続いていたが、’12年9月期から黒字に転じ、最近は六本木ヒルズや丸の内にオフィスを構え、昨年には羽田空港事務所も開設した。
「暴力団による金塊密輸の"シノギ"が始まったのは、少なくとも3〜4年前だと思います。今回の事件のように暴力団員が自ら金塊を運ぶケースはむしろ稀(まれ)で、バイトに任せることが多い。もともと半グレが始めたビジネスで、そこに暴力団が乗り出したという流れです。暴力団にとって、儲けが確実なシノギがどんどん少なくなって、様々なビジネスを手がけていかないといけないのが現状です」(暴力団事情に詳しい作家・溝口敦氏)
「金塊密輸」が始まった時期と、ジェットチャーター社の黒字転換は3〜4年前で、奇妙に符合している。
 長野社長はいつからこの"シノギ"に協力していたのか、今後警視庁がその点についても捜査する見込みだ。
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ジャパンジェットチャーターがレンタル契約していたガルフストリームG200。普段は羽田空港に駐機していた
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