熱闘甲子園「プロが注目する7人のエース」
2016.08.07
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速球派に技巧派、抜群の身体能力を誇るハーフ投手まで

高橋昂也(こうや) (埼玉・花咲徳栄)
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往復18㎞走って通学
最速152㎞左腕

181㎝83㎏ 左投げ左打ち 埼玉県出身
2年夏、3年の春、夏と甲子園出場は3度目。NMB48山本彩の大ファン。携帯野球ゲーム「十球ナイン」が得意。ポケモンGOにハマっている

アドゥワ誠 (愛媛・松山聖陵)
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父親がナイジェリア人の 196㎝"伊予のダルビッシュ"

196㎝86㎏
右投げ右打ち
熊本県出身
小学校1年生のときに熊本中央リトルで野球を始める。兄の大(まさる)さん(20、東農大オホーツク北海道)も、九州国際大付属から甲子園出場

 8月7日に開幕する夏の甲子園。今大会は3年生に逸材投手が多い。北海道・東北、中部、近畿など、7地域のイチ推しピッチャーを紹介しよう。

●関東地区
 花咲徳栄(はなさきとくはる)(埼玉県)の高橋昂也(こうや)は、最速152㎞で高校生No.1左腕とプロ野球スカウトからの評価は抜群。県大会では6試合37回を投げて無失点。52奪三振で、与えた四死球はわずか2というコントロールの良さも光る。
 もともとはサッカー少年だった。高橋の投手としての能力を見抜いたのは、「栗橋ジャイアンツ」の監督を務めていた元巨人捕手・斎藤勝博氏(故人)だ。体験練習に参加した高橋の投球を見て「絶対にプロに行ける肩の強さ」と絶賛。高橋は小学校3年生で野球に転向し、斎藤氏から連日「プロになることを意識しろ!」と熱血指導を受け、泣きながら練習した。
 厳しい指導のおかげで高橋の才能が開花。中学では久喜シニアに所属し、花咲徳栄では1年生のときからエースナンバーをつけた。だが今春のセンバツでは、腰の張りから本来の投球ができず6回6失点と初戦で秀岳館(熊本県)に敗退した。高橋が振り返る。
「悔しかったです。上半身に頼った投げ方をしていたので、イチから下半身を鍛え直さなければならないと痛感した。6月は久喜市の自宅から学校まで毎日往復18㎞を走って通学していました。おかげで腰がひと回り大きくなり、球速も制球力も春より断然よくなったと思います」
 本人によると性格は「あきらめが悪い」。UFOキャッチャーが好きで、映画「ミニオンズ」の30㎝強のキャラクターを手に入れるために30分以上粘ったこともあるという。目標は同じ左の剛腕投手だ。
「楽天の松井裕樹さんです。ストレート勝負で三振が取れる投手になりたい。球団は問いません。プロのマウンドに立ちたいです」(高橋)
 走力は50m6秒8で、遠投120mの強肩でもある。

●四国地区
 抜群の身体能力で注目されているのは、身長196㎝、松山聖陵(愛媛県)のアドゥワ誠だ。父親のアントニー氏はナイジェリア人で186㎝、母親の純子氏は元ダイエーのバレーボール選手で180㎝ある。県大会では全6試合に登板し、ライナー性の打球を素手でさばく負けん気の強さや、ファールグラウンドへの大飛球をダイビングキャッチする思い切りの良さを見せた。
「入学当初から身長は191㎝ありましたが、体重は61㎏とヒョロヒョロ。’99年に沖縄尚学で選手として全国制覇した荷川取(にかどり)秀明監督から、よく『エースになりたいならもっと太れ!』と怒鳴られていました。肉体改造に乗り出したのは昨冬です。1回の食事でのノルマは白米ドンブリ3杯。本人が『吐くまで食べた。もうお米を見たくない』と苦笑いするほどの荒行で、体重は86㎏まで増えた。130㎞台だった速球も、最速145㎞を計測するまでになりました」(学校関係者)
 熊本県出身で、決勝戦には両親が6時間かけ被災地から観戦に訪れた。ノーシードから甲子園出場を決め、アドゥワは「ちょっとは親孝行できたかな」と笑顔を見せ熊本での人気も高まったのだ。

●北海道・東北地区
 東北(宮城県)の渡辺法聖(ほうせい)は、甲子園出場どころか野球人生の危機にあった。
 1年生のころから140㎞近い速球を投げ将来のエースと期待されたが、2年生の春に背中と左肩が激痛に襲われた。上半身に頼った投球フォームが原因だった。ベンチ入りメンバーからはずれ、ネット裏でスピードガンを構える裏方に徹する日々。焦りがつのった。
「高校時代に同じ投手だった、兄の晴仁さんのアドバイスが復活のきっかけになったそうです。『体重移動がスムーズな投球フォームに修正しろ』と。渡辺は医師に肩甲骨の使い方などを教わり、テイクバックが極端に小さいフォームに変えました。イメージは、スローカーブを武器に活躍した技巧派の元オリックス星野伸之さんです。一日10㎞以上走り込みをして下半身を鍛え、今春からエースに抜擢されました」(地元紙記者)
 テイクバックの小さいフォームは、球の出所が見づらい。球速は130㎞台ながら、カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークと多彩な変化球で、県大会では6試合631球を投げ切り、失点はわずかに3だ。

●中部地区
「オリャー!」
「ヨッシャー!」
 東邦(愛知県)の藤嶋健人は、試合中によく吠える。登板時は、球場全体に雄叫びが響きわたるのだ。
「小学生のときにNOMOベースボールクラブの日本代表として、米国遠征したほどの逸材です。東邦でも1年生のときから控え投手としてベンチ入り。ただ性格が優しかったので、森田泰弘監督が『マウンドに上がったら気持ちを前面に出せ』とアドバイスしたんです。以来、藤嶋は雄叫びをあげながら、140㎞台後半の直球を打者の胸元にビシビシ投げ込めるようになりました。曲がりながら落ちるナックルカーブとのコンビネーションは、プロでも攻略するのは難しいでしょう」(スポーツ紙記者)
 移動中のバスのなかで歌をうたうなどして、チームのなかでは盛り上げ役。十八番はEXILE「NEW HORIZON」。ムードメーカーが甲子園で大暴れするか。

●近畿地区
「夏も頼むよ」「連続出場も余裕だろ」
 智弁学園(奈良県)の村上頌樹(しょうき)は、校内で友人とすれ違うたびに声をかけられた。今春のセンバツは5試合47イニングを一人で投げ抜き、全国制覇投手に。だが「勝って当たり前」という雰囲気は、大きなプレッシャーになった。
「県大会の序盤は腕が振れていなかった。5試合中4試合で先制を許す、苦しい展開でしたから。カーブなど変化球でかわそうとし、痛打をくらうシーンが目立ちました。見かねた小坂将商(まさあき)監督が、決勝の天理戦前に村上を監督室に呼び厳しく言ったそうです。『逃げていたらダメだ。春は春、夏は夏。再び挑戦者になった気持ちで全力で行け。どうせ打たれるならオマエの得意なストレートで勝負しろ』と。天理戦では見違えるようでした。ピンチになっても、140㎞台後半の速球でドンドン押していた。球のノビは他の高校生と格が違います」(地元紙記者)
 決勝戦後、村上は「苦しんだ分、大きく成長した。春夏連覇を狙う」と語った。

●中国地区
 球速154㎞――。創志学園(岡山県)の高田萌生(ほうせい)は、高校最速投手だ。県大会決勝の玉野光南戦に訪れたスカウトは巨人、阪神、ソフトバンクなど、なんと9球団19人。高田は9回1失点と、力で玉野光南をねじ伏せた。
「誰よりも速いボールを投げたい」
 高田の口癖だ。
「憧れは横浜高時代の松坂大輔です。ヒマさえあれば、県大会や甲子園での松坂の投球動画を見ています。フォームをまねて、ワインドアップから全身を使い帽子を飛ばしてボールを投げ込む。スピードがあるうえ荒れ球なので、打者は的を絞り辛いでしょう。練習では少しでも球速を上げたいと、一日に200球は軽く投げ込みます。ときには400球以上投げ込むこともあり、コーチがあわてて止めに入っていますよ」(学校関係者)
 甲子園の「新たな怪物」になるか。

●九州・沖縄地区
 樟南(鹿児島県)の浜屋将太は、引き分け再試合となった鹿児島実業との決勝で2日間331球を投げ抜いたタフネスだ。県大会では、44回2/3を投げ64個の三振を奪ったドクターKでもある。
「昨夏、試合中に熱中症で倒れた経験からウィンドブレーカーを着て走り込むようになった。その効果か、炎天下でもスタミナ切れしません。今年5月の招待試合で、日大三(東京都)の小倉全由(まさよし)監督から『あの球を芯で捉えられる高校生はいない』と絶賛されたスライダーが武器です。鹿児島実業の宮下正一監督も、『少なくとも九州では最高の投手』と話しています」(スポーツ紙記者)
 7人ともスカウトが「即戦力」と話す好投手。甲子園のマウンドで優勝の喜びを味わうのは、どのピッチャーだろうか。


藤嶋健人(愛知・東邦)
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「ヨッシャー!」と 気迫の雄叫び

176㎝80㎏
右投げ右打ち 
愛知県出身 
小学校2年生から栄ドリームズで野球を始め、中学時代は東三河ボーイズに所属。高校通算48本塁打の長打力も魅力。2年秋から4番に座る。昨秋の神宮大会・秀岳館戦で2打席連続本塁打

渡辺法聖(ほうせい)(宮城・東北)
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極端に小さいテイクバック

180㎝80㎏ 
左投げ左打ち 
宮城県出身 
小学校6年生で楽天ジュニアに選ばれたが、中学は一般の軟式野球部へ。打撃も得意。県大会では3番打者として21打数12安打、打率5割7分1厘の成績を残す

村上頌樹(しょうき) (奈良・智弁学園)
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春のセンバツ全国制覇投手

173㎝75㎏ 
右投げ左打ち 
兵庫県出身
春のセンバツでは5試合を投げ、わずか2失点の安定した投球。1年生秋からエースとなり、2年秋の県大会で優勝。マウンド上でも笑顔を絶やすことがなく、あだ名は「スマイル王子」

高田萌生(ほうせい) (岡山・創志学園)
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高校生最速の速球154㎞

178㎝75㎏ 
右投げ右打ち 
岡山県出身
小学校3年生でソフトボールを始め、高知の明徳義塾中学時代は軟式野球部だった。1年生からベンチ入りし、2年秋からエース。速球に120㎞台のスライダーと90㎞台のフォークが武器

浜屋将太(鹿児島・樟南)
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敵将も大絶賛の
高速スライダー

173㎝64㎏
左投げ左打ち 
鹿児島県出身
小学校2年生のときにソフトボールを始め、中学時代は鹿児島大隅ボーイズに所属。甲子園初出場。スライダーやカーブのキレは抜群
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