小池百合子vs.「築地のドン」仁義なき新市場移転戦争
2016.09.05
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「都議会のドン」に続き新たな敵が立ちはだかる
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「私たちの情報はすべてオープンです」と伊藤氏は堂々と取材に答えた
 小池百合子都知事(64)に、新たな「抵抗勢力」が立ちはだかった。
 8月31日、築地市場の豊洲移転延期を発表した小池知事に対し、築地市場協会会長の伊藤裕康(ひろやす)氏(81)が、本誌の取材にこう怒りを露にする。
「11月7日の豊洲への移転は、東京都と我々の間で10年以上前から行っていた協議の末、ようやく決まったことです。11月7日に開場を迎える腹づもりで、大型冷蔵庫を導入したり、引っ越しの段取りをしたりと、準備を進めてきた。それをいまさらになって延期にして、何の意味があるのか」
 伊藤氏は、’04年から東京都水産物卸売業者協会会長、’06年から全国水産卸協会会長を務め、市場で働く1000の仲卸業者を取り仕切る「築地のドン」と呼ばれる人物だが、小池氏はそのドンにケンカを売った形だ。
 小池氏が延期を決めた直接の要因は豊洲市場の土壌汚染問題だが、さらに問題視しているのは、’11年度には3926億円と見積もられていた土地の取得費・建設費・土壌汚染対策費などの「事業費」が、5884億円へと膨張したことである。その内訳を見ると、不可解なことが多いという。
「築地市場の跡地に通す環状2号線、通称『オリンピック道路』の関連工事を、『都議会のドン』内田茂氏(77)に献金している企業が複数受注していることが発覚しました。この莫大な事業費が何に使われたのか、徹底的に洗い出すつもりです」(小池氏の側近)
 移転反対派である東京中央市場労組執行委員長の中澤誠氏はこう指摘する。
「豊洲への移転が持ち上がった当初、先頭に立って都のやり方を批判していたのは、他でもない伊藤会長です。それがいつ頃からか、移転推進派になってしまった。きっかけがわからないだけに、『何かあったのではないか』と疑う者が少なくありません」
 そもそも豊洲市場が建設されたのは、東京ガスの工場跡地で、’08年の調査では環境基準の4万3000倍もの発がん性物質が検出された土地である。
「また、豊洲は交通アクセスが非常に悪い上、一日に市場を出入りする5000台のトラックをさばくための道路設計もまったくなされていません。さらに、床の耐荷重も㎡あたりわずか700㎏程度。本来なら最低1.5tは必要で、こんな設計では床が抜けてしまう可能性すらある」(前出・中澤氏)
 いったいなぜ、こんな場所に移転を決めたのか。移転を主導したのは誰なのか。本誌の質問に、伊藤氏は笑いながらこう答えた。
「どこかに利権があるのかもしれませんが、私にはわかりませんし、関係ありません。私は少しでも良い市場を作ろうと、毎日精進しているだけです」
 一方、小池氏は「不透明な契約は次々に出てくるはず。都議会と移転派の関係を明らかにする」と息巻く。
 築地市場を巡る、仁義なき移転戦争が始まった。
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間口が狭くマグロがさばけないなど、様々な問題が浮上する豊洲新市場
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8月16日に豊洲市場を現地視察。厳しい表情で市場関係者の説明を受け、何ごとか思いをめぐらせていた
PHOTO:鬼怒川 毅
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