熊を撃退!空手五段63歳男性「生死を分けたひと突き」
2016.09.15
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現代の大山倍達
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20歳のころ、草津に道場ができたことをきっかけに空手を始め、以来数十年、毎日稽古を欠かさなかったという。今回の熊の出没を受け捕獲用の罠(写真左)が設置された
「釣りのポイントを変えようと移動したら、仁王立ちした熊がいたんです。生まれたときからここに住んでるけど、熊を見るのは初めて。自分との距離は5mくらいで、『クマだ』って思った瞬間、もの凄い勢いで迫ってきた」
 9月1日、群馬県長野原町の地蔵川で渓流釣りをしていた青木篤さん(63)は突然、熊と遭遇した。ツキノワグマとみられる野生の熊と素手で格闘した末、見事撃退する。顔や足に生々しい傷の残る青木さんが、熊を返り討ちにした一部始終を本誌の取材に明かした。
「熊は190㎝くらいあるように見えた。逃げても襲われるし、戦うしかないと。まあ、考える暇もなく、自然に身体が動いちゃったんです。正面から突っ込んできたから、身体をかわしました。熊の肩がかする程度に当たったんだけど、それだけで吹っ飛ばされてしまった。倒されたところを右足を嚙まれ、足を引き抜いてそこから格闘したけど……」
 じつは青木さんは空手五段の腕前で、「沖縄正統派」という、より実戦に近い流派の空手を20歳過ぎに習い始め、地元で10年以上空手を教えた師範代だった。だが初めて体験する熊のパワーは桁違いだったと話す。
「無我夢中でどういう形でもみあっていたのか、はっきりとは覚えていません。腹も何発か殴ったんだけど、固いんだか柔らかいんだか、とにかく手応えがまるでなかった。格闘していたのは1分くらいだったのかな。何をしても熊が逃げてくれないから、本当にくたびれてきて、ひどく息が上がってきていた。ちょうど熊が右手で攻撃してきて、それを払ってよけたら、顔が目の前にきたんです。そこを突いたんだよね。右手の指2本で熊の右目を思いっきり突きました」
 この「生死を分けたひと突き」で、熊は森の中に逃げていった。青木さんは、右足、右腕、顔の右側、頭部の4ヵ所を縫うケガを負ったものの無事生還を果たした。
「過去の事例を2000件くらい調べていますが、指で目を突いたというのは初めて聞きました。凡人では無理ですね(笑)。今年はドングリなど熊の餌が凶作になる可能性が高い。この秋、熊の出没は例年より増えると思います」(日本ツキノワグマ研究所理事長の米田(まいた)一彦氏)
 熊を撃退したこのニュースが報じられると、すぐさまネットでは「現代の大山倍達(ますたつ)、現る」といった書き込みが相次いだ。
「とんでもない。空手を始めたきっかけも『空手バカ一代』ですし、人間離れした動きに憧れ、大山先生の著書も読みました。そのような取り上げられ方は違いますよ。それにしても、熊はすべての動きが速かった。あんなに速く動ける動物だとは知りませんでした。逃げていくのも速かったけどね(笑)」
PHOTO:濱﨑慎治
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