シリーズ 有名人たちのもう一つの顔「私、マニアです」第20回 元たま 石川浩司(ミュージシャン)
2016.09.21
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空き缶コレクター
「自衛隊基地内のコーヒーなど、その数2万本!」
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〈今日〜人類がはじめて〜♪ 木星についたよ〜♪〉
 ’90年にリリースされ、CD60万枚を売り上げる大ヒットとなった「たま」の『さよなら人類』。パーカッション&ボーカル担当の石川浩司(55)は、空き缶コレクターだ。
「きっかけは『掛布オレンジドリンク』でした。’85年にツアーで和歌山に行ったときに見つけた、ご当地ジュースです。阪神の掛布雅之選手(当時)が、オレンジをボールに見立てて打っているパッケージなんですが、微妙なダサさに惹かれました。話のネタにしようと東京に持ち帰ったこの缶が、コレクションの第1号。それから珍しい缶を見つけては、保管するようになりました。陸上自衛隊の基地内でしか売っていないコーヒーとかね。缶ほしさに、ペット用の牛乳を買ったこともあります。身体に変調はありませんでしたが、薄すぎて味がしなかったなぁ」
 集めるうえで決めていることがある。もらったり捨ててある缶はNG。自分で買い飲んだものを収集するのだ。
「旅先などで見つけて、その場で飲むのが楽しいんです。たとえ缶でも、一期一会を大切にしたいので……。中国で見つけた『アスパラガスジュース』は思い出深い一品です。アスパラガスの缶詰の汁に砂糖をブチ込んだような味で、素直に不味かった。関西でよく見かける『冷やしあめ』は面白い。冬になると『あめ湯』に変わるんです。二つの名前が裏表に印刷してあり、夏と冬で自動販売機に表示される面を入れ替えている。リバーシブル缶とボクは勝手に呼んでいます」
 缶にまつわるトラブルもある。
「ロシアでは、空港でのX線検査で缶のビッシリ入ったバッグがひっかかりました。太った女性係員に『これはなんだ!』と注意されて。たいがい『マイ、コレクション』と言うと認めてもらえるんですが、ロシアは違った。『こんなモノを集めるヤツがいるか。わが国ではこれをゴミと言う!』と怒鳴られてね。説得するのに1時間もかかりました」
 年間多い時には1000本を飲んで30年。集めた空き缶は2万本を超えた。
「物置はもうパンパン。家じゅうに缶が転がっている状態です。妻は不満そうですが、『捨てろ』と言われたことはありません。缶との付き合いは妻より長い。『オレの子どもたち(=空き缶)が全部ついてくるからね』と了解を得たうえで、結婚したんですよ」

PROFILE
いしかわ・こうじ ’61年、東京都生まれ。和光大文学部中退。’84年にバンド「たま」を結成。’90年の『さよなら人類』のヒットでメジャーデビュー。ランニング1枚の印象的な姿で人気者に。’03年に解散。現在はソロで活動。’12年の映画『この空の花』では山下清役を熱演
PHOTO:小松寛之
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