小池都知事が「疑問だらけの五輪のドン森喜朗」に突きつけた質問状
2016.10.10
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「森さん、なんでガバナンスできないのかしら」が口癖
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都議会では自民党議員から厳しい質問が飛ぶも、「むしろ寝てる人が少なくて意外だった」とまったく怯まず
「日本の政治風土では日本流の根回しをはじめ、主権者の目の届かないところである種の力学が働く」
 責任者不在、不可解な情報隠しなど「都庁行政の闇」と奮闘する小池百合子都知事(64)。そのブレーンとなっている都政改革本部「オリンピック・パラリンピック調査チーム」が9月29日、報告書を発表した。
 調査チームは冒頭で、〈今のままでは、(東京五輪の)開催総費用は3兆円を超える可能性がある〉と衝撃の数字を公開し、「海の森水上競技場」(ボート・カヌー会場=491億円)、「オリンピックアクアティクスセンター」(水泳会場=683億円)、「有明アリーナ」(バレーボール会場=404億円)と総事業費の高い3施設の抜本的な見直しを提案した。
 一連の五輪会場工事では、入札における談合疑惑も浮上している。特に「海の森」は、森喜朗五輪組織委会長(79)とつながりが深いと言われる大成建設JVの単独入札で、落札額249億円は公表されていた予定価格よりわずか32万円安いだけ、落札率は99.99%だった。
「発注する側、入札する側が話し合わないとこの金額は出ない。はっきり言えば、官製談合です。都の担当者というレベルではなく、スーパーゼネコンに通じる『大物』が割り振って、入札を行ったとしか考えられません」(公共事業論が専門の法政大学名誉教授・五十嵐敬喜氏)
 いったいなぜ、こんなことになったのか。都民に見えないところで、超高額な建設が決定され、しかもその工事を巨大ゼネコン各社が「住み分け」受注している。ここにも、小池知事が言う「ブラックボックス」の構図がある。
 前出の報告書では、森喜朗氏率いる組織委について、〈組織委員会の役割と位置付けが不明確〉〈組織委は司令塔になりにくい〉と、組織としての適格性さえ疑問視した。
「虎ノ門ヒルズに入居している組織委の事務所家賃について小池さんは、『高い。高すぎる』『森さん、都民の気持ちがわかってない』と言っています。家賃は年間4億7600万円で、今後さらに組織委関連の事務所は増える予定ですからね」(小池氏の側近)
 小池氏は、
「森さん、なんでガバナンスできないのかしら」「森さんで大丈夫なの?」
 と、森会長を名指しで批判しているという。
 一方、批判された森氏は猛反発。9月29日、文部科学省で開かれた調整会議後に囲み取材に応じ、
「独断専行されたら困る」「われわれの立場は東京都の下部組織ではない」
 と、約20分間にわたって小池氏への怒りをぶちまけた。
 さらに、組織委の武藤敏郎事務総長を密かに小池氏と面会させ、都の出資金58億5000万円のうち、57億円を返還する意向を伝えたという。これ以上うるさいことを言うなら、都庁と手を切る、というのだ。
 しかし、小池氏の今後の狙いは、五輪運営における主導権を取り戻すことにある。事実、調査チームの報告書には〈(組織委員会は)都が97.5%を出えん(=出資)する出資等団体〉〈(地方自治法上)知事は組織委員会に対して調査権を行使し、また監査委員は監査を行うことができる〉とあり、組織委は都の下部組織に過ぎず、本来の運営権は都知事にあると示唆している。つまり今回の報告書は、森氏ら組織委にそのガバナンス能力を問う「質問状」なのだ。
「小池さんは、今後も調査チームを使って組織委のムダを徹底的に暴いて都民を味方につけ、森さんを完全に追放するつもりです」(全国紙都政担当記者)
 小池都知事と森会長が歩み寄ることは、もはやありえない。両者のどちらかが倒れるまで、「東京五輪の主役」をめぐる戦いは続いていく。
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森会長は「(見直しは)極めて難しい」「(これまでは)賢明な知事と一緒にやってきた」と小池氏を牽制
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現状の水泳会場予定地。見直しは十分に間に合いそうだが
PHOTO:鬼怒川 毅(小池氏)西 圭介(森氏)會田 園(水泳会場)
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