スズメバチハンターたちが作る「秋のハチ珍味」
2016.10.30
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コロッケ、天ぷら、混ぜご飯に素揚げ…ぜんぶ滋養のかたまり(らしい)
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ハチ料理をふるまってくれた田迎さん(右)と大滝さん。メニューは、上段右から①コロッケ、②キイロスズメバチ(体長約2㎝)の素揚げ、中段右から③幼虫とサナギの天ぷら、④混ぜご飯、下段右から⑤佃煮、⑥醬油炒め、⑦素揚げ、⑧塩煎り
 毎年20人ほどの死者を出し、今年も各地で被害が続出している危険生物スズメバチ。繁殖期である8月から11月いっぱいまでは猛威を振るい続ける。
 一方、「この時期こそが旬」とばかりに、スズメバチを美味しく平らげてしまう人々がいる。有名なのは、クロスズメバチ(体長約1.5㎝)などの幼虫「はちのこ」を食す文化だ。長野や岐阜、宮崎をはじめとした各地の山間部では、古くから貴重なタンパク源として摂(と)られてきた。
 しかし、北関東でスズメバチハンターとしてタッグを組む田迎真人(たむかいまさと)さん(58)と大滝元範(もとのり)さん(69)の"お気に入り"は、ひと味違う。もっとも凶暴とされ、体も格段に大きいオオスズメバチ(同約6㎝)なのだ。ちなみに田迎さんは、駆除歴30年以上を誇るベテランである。
「先入観を持たずに食べると、ウメェのなんの! しかも栄養価が高いから、元気になるんだ! 仕事も色気も俄然ヤル気になってくるよ!」(大滝さん)
 どんな味なのか、本当にウマいのか!? ビビリながらも、本誌記者も自慢のハチ料理をご馳走になることに。
 まずは佃煮(つくだに)。当然と言えば当然だが、やはりモロに幼虫やサナギの形状だ……! 思いきって頬張ると、アサリのような食感で、ショウガや山椒に似た風味が口の中に広がる。しかし、調理の際には醬油と砂糖しか入れていないとのこと。これはハチそのものの味のようだ。あれ、意外とイケるんじゃないか?
 次は天ぷら。獲ってきたばかりのハチの巣から幼虫とサナギを取り出し、揚げたものだが、衣で覆われているぶんビジュアル的には比較的マイルドだ。アツアツを塩でいただくと……むむ!? トロッとしたクリーミーな食感で、よく言えば白子の天ぷらを食べたときの感触に似ている。ただ、幼虫のものは皮が嚙(か)みきれず、口の中に残るのが難点か。
 そして素揚げだ。これもアツアツを塩と胡椒で食べると……イケる! サクサクッとした小気味いい食感はスナックのようで、ビールがすすみそうだ。とくに毎年この時期は、巣で来年の"女王バチ候補"が育っており、その味は働きバチとはまったくの別物。腹部に栄養をパンパンに蓄(たくわ)えているためか、濃厚な旨みとコクを含んでいるのだ。心なしかパワーが漲(みなぎ)ってきた気がする!
 さらに、塩煎(い)り、醬油炒め、混ぜご飯、コロッケと、ハチ料理のフルコースを体験した本誌記者。最近精力の衰えを感じ始めていた矢先の取材だったが、翌日ムスコがスズメバチのごとく暴れまくってしまったことをコッソリ白状しておく。
PHOTO:小松寛之
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