電通が「疑惑のエステ企業」に借金棒引き30億円!の怪
2016.11.18
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「ミュゼ」を経営するジンコーポレーションに大甘経営判断
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長時間労働問題発覚以後、夜10時に全館一斉消灯が実施されている東京・汐留の電通本社
「長時間労働問題については、いまのところ、業績に影響は出ておりません。午後10時消灯を実施していますが、とくに社内で混乱は生じていません……」
 渦中の電通が11月14日、第3四半期決算を発表した。広報部長によると、前年に比べ売り上げは微減だが純利益は2割近く増え、511億円に及んだという。
「電通の決算は、東京五輪関連のスポンサー収入や、ネット、テレビCMも好調です。24歳の女性社員が過重労働の末自殺、パワハラ体質も明らかになっていますが、皮肉なことにそうした社員の"献身"を支えに好業績を謳歌している」(経済誌記者)
 その電通が、昨年、今年と2年にわけて密かに処理していた巨額の損失がある。
 その額、実に30億円。月に100時間以上にも及ぶサービス残業を社員に強いる一方で、この「大盤振る舞い」は妥当な経営判断と言えるのか――。
トリンドルのCMを垂れ流し
〈株式会社ジンコーポレーションと同社金融債権者及び事業債権者による債務弁済交渉の完了に関するお知らせ〉
 10月26日、そう表題のつけられた文書が公表された。
 ジンコーポレーションは、女性向け美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」などミュゼブランドの美容品、サービスを扱っていた会社。文書によると、同社は「金融債務(=金融機関からの借金)80億円」、「事業債務(=その他の借金、未納金)30億円」の合計110億円を抱えていたが、債権者との交渉の結果、返済額を合計3.6億円とすることで合意したという。
 返済率はわずか3.27%で、80億円を貸していた金融機関は2.6億円、30億円を立て替えていた取引先は1億円弱を得て、残りの全額を放棄する。
 この30億円を放棄した事業会社というのが、電通なのだ。
「’02年創業のジンコーポレーションは、『500円払えば何度でも脱毛OK』など激安路線で店舗数を190以上にまで伸ばしました。しかし、会員数が増えすぎて極端に予約が取りづらくなり、昨年から退会者が相次ぐようになったんです。
 同社を創業した髙橋仁社長(47)は数億円の年収を得て競走馬のオーナーとなり、東京・広尾の超高級マンションに住んでいたが、次第に資金繰りに追われるようになった。トリンドル玲奈など女性タレントを起用したテレビCMを大量に流し、新規会員を集めようとしたが、結局電通への支払いのかなりの部分が未納になった」(金融機関アナリスト)
 髙橋氏も金策に奔走したものの昨年11月に自主再建を断念し、RVHという会社の支援を仰ぐことになった。
「RVHの経営者は過去に反社会的勢力との取引があったことを法廷で証言している人物。ジン社のスポンサーとなったあと、メインバンクの足利銀行、常陽銀行や電通に巨額の債権放棄を要求して関係者を呆れさせました。まさか銀行団や電通がその要求を呑むことはないと思ったのですが……」(前出・アナリスト)
 ところが、実際には前述のように巨額借金の棒引きが決まった。
「普通なら裁判所の管理下で破産申し立てや財産の差し押さえをする法的整理にしますが、法的整理を避けるのは、無担保に近い融資とか、法的に回収が難しい債権を抱えていたケースが考えられます」(倒産問題に詳しい税理士の瀧本遵一氏)
 電通は、猛烈な勢いで店舗数を増やすミュゼの収益力を過信し、CMを垂れ流していた。法的整理を回避した背景には、髙橋氏の不正流用など会計上の問題を隠す意図があったと見られている。
「電通はすでに昨年の中間決算で20億円以上の貸し倒れ引当金を計上しており、このほとんどが『ミュゼ』の債権です。さらに今期の中間決算でも、13億円を引き当てている」(前出・経済誌記者)
 電通広報部はこうコメントする。
「個別の取引に関する回答は差し控えさせていただきます。(過重労働については)当局による調査に全面的に協力しているところです」
 巨大企業・電通にとって30億円の債権放棄は大した額ではないのかもしれないが、いったい電通のリスク管理はどうなっているのか、疑わざるを得ない。
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ジンコーポレーションからRVHに経営母体が代わり、激安の「500円脱毛」も終了した
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髙橋氏(中央)は「ミュゼ」で始まる馬名の競走馬を30頭近く所有、日本ダービーに同時に2頭出走させた
PHOTO:濱﨑慎治(電通)
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