今度は爆留学!10万人の中国人が来日して受験予備校通い
2016.11.22
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爆買いの次は勉強か。
「高考」という一発勝負の受験をさけ、
ゆとり世代が海を渡ってきた
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予備校の壁や窓には合格を祝う紙がビッシリ。映画『ビリギャル』の影響で慶應義塾大学の人気も急上昇中
「ワタシは予備校に通ったおかげで、早稲田大学の大学院に合格できました。早稲田は、中国でもスゴク有名です」
 広東省仏山(フォーシャン)市出身の女子学生、洪(コウ)ケイ儀(ギ)さん(24)が目を輝かせる。
 中国人留学生が激増している。’15年の在籍中国人留学生は、およそ10万人。15年前の3万2000人(’00年)と比べると、実に3倍に増えているのだ。各大学の外国人留学生に中国人が占める割合は、東大44%、早大52%と約半数にのぼる。『中国人エリートは日本をめざす』の著者でジャーナリストの中島恵(けい)氏は、「まさに"爆留学"状態」と語る。
「中国の受験は過酷です。年に一度、全国一斉に行われる『高考(ガオカオ)』という入試で合否が決まる一発勝負。滑り止めを受験したり、浪人する余裕はありません。しかも合格者数は、地域ごとに割り振られています。たとえば北京大学なら北京出身者は1000人合格させるのに、四川省出身者は50人しかとらないのです(数字は非公表)。’90年代以降に生まれ裕福な家庭で育った子どもは、『90后(ジウリンホウ)』と呼ばれる『ゆとり世代』。彼らは国内の過剰な受験事情を嫌い、海外の名門大学に入りハクをつけようとしています。米国や英国は遠いけれど、日本の大学なら近くて治安も良いと考えているんです」
 そこで増えているのが中国人専門の予備校だ。アジア系住民の多い東京・大久保では、この2〜3年で中国人向け予備校が10校以上できた。そのほとんどの学校に寮が併設され、勉強に専念できる環境が整っている。最大手の「名校志向塾」や「行知学園」には、それぞれ1200人ほどの生徒が在籍。大半の生徒が日本語学校とのダブルスクールで、学費は年間140万円ほどかかる。中には1時間1万5000円のマンツーマン指導を受けさせ、500万円以上払う親もいるという。
「教師もすべて中国人です。授業もほとんどが中国語。教材は、日本の大学受験のために中国で出版された教材を使っています。志望校の一番人気は、早稲田大学です。古くは中国共産党の創設メンバーだった李大(リーター)チャオや陳独秀(チェントウーシウ)らが留学し、近年では江沢民(チアンツオーミン)や胡錦濤(フーチンタオ)ら国家主席が来日した際に早大で講演している。歴史的に深い関係にある、親中の名門大学と認識されているんですよ。東大卒や早大卒の学歴は、中国での就職でも有利に働きます」(中島氏)
 背景には日本側の事情もある。文部科学省が’08年に「留学生30万人計画」を打ち出して以来、外国人学生を積極的に受け入れているのだ。留学生は大学の入試を受ける前に、日本学生支援機構が主催する基礎学力確認試験を受けなければならない。以前は日本語能力テストと一般科目テストの二つを受けていたが、現在では一つに統一され簡素化されている。
「入試科目を減らし、複数回受験を可能にした大学もあります。一般の日本人より留学生にとって『広き門』になっている大学も多い。少子化の影響で、留学生を受け入れないと学校経営が成り立たないんです」(予備校関係者)
 中国人1人当たりの爆買い消費は前年比19%減と落ち着いたが、爆留学ブームはしばらく続きそうだ。
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取材に応える洪さん。早大大学院で経営学を学ぶ。「日本の企業に就職し将来は中国に戻りたい」と語る
取材・文/桐島 瞬(ジャーナリスト)
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