『この世界の片隅に』片渕須直監督「のんを主演にした理由」
2016.12.29
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全国63館でスタートし、1月以降もロングラン上演する大ヒット作に!
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’16年7月よりのんとして活動再開。本作の演技で毎日映画コンクール・女優主演賞にノミネートされた
「のんさんを起用した決め手は、すずさんという主人公のキャラクターでした。すずさんは味があるというか、非常に喜劇的な人。それでいて繊細な内向性も持っていて、かなりキャラクターが絞られます。そんなイメージを描きつつテレビを見ていたら、NHKの『あまちゃん』に出演していた彼女に出会ったんです」(監督の片渕須直(すなお)氏。以下、「 」内は監督の言葉)
 アニメ映画『この世界の片隅に』が、異例のヒットを記録している。11月12日に全国の独立系映画館63館で公開。以来、観客動員は伸び続け、年明けには150館を超える見通しだ。
 戦中、戦後の広島や呉に生きる人たちを描いた同名マンガ(こうの史代作)が原作。声高に戦争の悲惨さを訴えるわけではないが、着物をもんぺに縫い直したり、野草を摘み料理する淡々とした日常の描写が戦争の理不尽さを伝える。
「これまでテレビドラマなどで戦時下の生活がたくさん描かれてきましたが、ステレオタイプな表現が少なくなかった。たとえばモンペが本当に必要になってくるのは空襲が始まってからです。『もんぺなんてカッコ悪いもの本当は着たくなかったんだ』という当時の女性たちの気持ちをくみとり直すことで、戦時中の人たちのことを自分たちのことと等しい存在として描き出せると考えていました」
 のんにとっては改名後、初の主演作となる。監督はのんにオーディションへの参加を依頼。その後、のんから手紙が来た。
「『私がすずさんをやりたい!』という気持ちが詰まった手紙でした。それを読んで、この原作を映画にしたい、と心に決めた自分を思い出しました」
 収録は’16年の7月下旬に始まり、8月の中ごろまで続いた。のんは毎日、広島弁を収録した台詞のテープを聞き、友人との会話でも広島弁を使っていたという。
「彼女は表情や仕草で訴える実写の演技をずっとしてきたわけですが、アニメーションではそれらすべてが使えない。だからマイクテストしながら、どう演技すべきなのか理解していってもらいました。
 彼女はすずさんを客観的に捉え、自分の中で一度消化し、違和感をなくしたところで演技をしてくれました。ある場面について『(すずの)心の働きが良く分からない』と相談されたこともあります。自分で解釈しきれないところについてどんどん質問してくれるんです。『台本に書かれてる通りにやってみよう』で済ませてしまうのではなく、もっと深いところで理解してから演じてくれました」
「能年玲奈」時代から演技力を高く評価されていたのんの、役者人生第2幕が開演した。
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主人公の北條すず。(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
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片渕監督。現在、取材が殺到し、この日は昼から5件の取材があったという
PHOTO:中村和彦(のん) 小檜山毅彦(片渕監督)
HOT WORD: のん
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