「民意など関係ない」これが「原発族」13人衆の正体だ!
2014.03.03
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細田博之幹事長代行。2月上旬には地元、松江市で再稼働に向けて原発のベント設備完成の重要性を語った
Photo:鬼怒川 毅
 2月25日、政府がエネルギー基本計画の原案を発表した。今まで国民の目から隠していた「原発再稼働」というホンネを、ついにさらけ出した。
「(原発は)エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」「(安全審査の)判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」
 計画案にはこう明記された。ベースロード電源とは昼夜を問わず安定的に稼働できる中心的な電源のことだ。
 また、従来の計画案の文言を〈確保していく規模を見極める〉と微妙に変え、原発新増設にすら含みを残している。
 2月23日には、上関原発(準備工事中)が立地する山口県で知事選が行われ、自民党が擁立した元総務官僚、村岡嗣政(つぐまさ)氏(41)が、脱原発を掲げる対立候補二人にダブルスコアで圧勝した。
「私たちは参院選で勝ったじゃありませんか。民意を得ているんです!」
 安倍晋三首相が1月31日の衆院予算委員会で言い放ったように、知事選での「民意」を受け、今後さらに原発再稼働を加速するつもりなのだろう。しかし本当に再稼働は民意を得ているのか。

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 上の表を見てほしい。掲載されているのは、日本の原発が立地する地域から選出された衆院議員と知事である。
 すべての地域が、なんらかの形で原発を容認する議員に押さえられていることが一目瞭然だ。しかも衆院議員13人のうち11人が自民党。そのうち少なくとも7人が原発稼働に積極的な電力安定供給推進議員連盟(電力議連)に名を連ねている「原発族」だ。
 彼らの多くは、電力会社はじめ地元のゼネコン、原発関連企業の支援を受けて当選し、原発再稼働、ひいては新設、増設に向けて動いている。また、知事には、原発推進政策を進めてきた自治省(現総務省)や経産省の出身者が目立つ。
「福島の不幸はあったけれども、それで全部やめてしまおうという議論を前提にやることは、耐え難い苦痛を将来の日本国民に与えると思います」
 昨年夏、BS放送で臆面もなく脱原発を非難したのは、細田博之自民党幹事長代行(69)。島根原発が立地する島根1区選出の議員で電力議連の会長を務める。いわば「原発族」の親玉だ。
 実は島根原発で新設されていた3号機は、約94%まで工事が進捗していた時点で東日本大震災を迎えた。原発関連企業の期待を背負った、出力137.3万kWの新鋭の大型原発は、一度も使われることなく空しく佇んでいる。
「せっかく4500億円も投資したんだから、安全基準を満たしたらぜひ3号機を稼働させたいね」
 細田氏は本誌取材に屈託なく語った。動かしてもらわなければ地元にカネが落ちない、ということか。
 東京電力の柏崎刈羽原発が立地する新潟2区選出の細田健一氏(49)は、経産省出身でゴリゴリの推進派。'12年の衆院選で、「落下傘候補」として自民党が選抜し柏崎に送り込まれた。
 昨年6月の衆院経済産業委員会では、原子力規制委員会の人員が少ないために審査が遅れることを問題視し、
「1基の審査に1年かかるなら全国の商業炉を審査するのに16年もかかる!」
 と1年生議員とは思えない激しさで規制委に詰め寄った。かつてインタビューではこう語っている。
「このまま原発が止まり続けたら、電気料金が上がり、企業が大変なことになる。安全と判断された原発は再稼働することが日本経済の活性化に資する」
 原発マネーも「原発族」議員を語るうえで欠かせない要素だ。
「原発銀座」福井3区選出の高木毅氏(58)は、原発関連企業から多くの献金を受けてきた。'08年から'12年の間に、原発に納入実績のある商事会社から68万円、原発推進を明確に表明する敦賀商工会議所の会員企業3社からも5年間で計412万円の資金を受け取っている。
 高木氏は、昨年5月には原子力規制委員会の判断に、
「規制委は敦賀原発下の断層について、(有識者)評価会合の活断層という判断を追認した。非常に問題だ」
 と嚙みつき、原発産業の利益代表として再稼働を主張した。
 北海道知事の高橋はるみ氏は経産省出身。知事就任の翌年の’04年以来、北電の複数の役員から毎年計40万円前後の個人献金を受けてきた。知事は震災からわずか半年後、'11年8月に泊原発の営業運転を容認。泊原発は事故後、全国の原発で初めて運転を再開した(現在は停止)。
 立地地域の選出ではないが、甘利明TPP担当大臣も「隠れ原発族」だ。'06年以降、電力9社は、1回の購入額が報告義務のある20万円を超えないように共謀して甘利氏のパーティー券を購入していた。その総額は年間1000万円を超えていたとされる。
 細川護熙(もりひろ)元首相が脱原発を掲げて都知事選出馬を決めた際、「殿ご乱心」と皮肉った張本人だ。
虚飾の「民意」
 再稼働へと舵をきる日本。山口県知事選にも、上関原発の本格着工を目指す地元ゼネコンや関連企業の存在が見え隠れする。全国紙政治部デスクが言う。
「山口は安倍晋三首相の実弟、岸信夫氏の牙城で、いわゆる保守自民王国。今回の知事選でも電力関連会社を動員し、組織力がいかんなく発揮されました。自民党は山本繁太郎前知事が体調不良によって辞職するという情報を事前に得て、年末から候補者を選ぶため50人の官僚リストを前に作戦を練った。しかも、対抗馬として有力なエネルギー学者で脱原発論者の飯田哲也(てつなり)氏が国際シンポジウムを控えている時期に選挙を当ててきたんです。完全に自民党の組織力の勝利ですね」
 ほとんどの「原発族」議員が山口の場合と同様、自民党の組織力、そして原発関連産業からの資金協力、選挙協力を受けて当選している。
「電力会社は選挙では資金と集票両面で応援する、落選中も何かと面倒を見るといった伝統的なやり方を相変わらず続けている」(元経産官僚・古賀茂明氏)
 組織力で立地地域を押さえた自民党。今度は、反対派が多い周辺都道府県の首長の座を狙っている。
「脱原発派として知られる滋賀県の嘉田由紀子知事の対抗馬として、自民党は47歳の経産官僚を擁立することを決めました。滋賀選出の上野賢一郎衆院議員が石破茂幹事長と直接電話で話していたそうですから、原発再稼働のため官邸が主導した人選でしょう」(前出・政治部デスク)
「原発族」はヒタヒタと増殖する。止めるのは今しかない。

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甘利担当相。電力会社に「最も電力事業に影響力の強い議員」と認識される。東電副社長から参院議員になった加納時男氏のパートナーのような役割だったという
Photo:鬼怒川 毅

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高木毅氏。写真は昨年、日本原子力発電の濱田康男社長との会合時。細田幹事長代行も同席していた
Photo:堀田 喬
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