あゝテレビ業界残酷物語 ブラックすぎる撮影現場をADが激白! 1/3
2016.12.31
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3ヵ月間休みなしで働かされ、上司から「死んでしまえ!」と罵られ、朝まで説教された居酒屋の勘定を払わされる……

キラキラ輝くテレビ業界。その番組制作を裏で支えるのは現場のAD(アシスタントディレクター)たちだ。華やかな世界で忙しそうに働くその姿は、傍目にはキラキラと眩しく輝いて見える。しかし、労働環境は想像以上に過酷なものだった。3K、4K、セクハラ・パワハラにいじめ、嫉み、面倒臭すぎる人間関係……。ADたちの叫びを聞け!
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ここまできたら笑うしかない
テレビ現場の過酷な実態
「3ヵ月間一日も休みがもらえなくて、次の休日が一体いつなのかもわからなかったときはさすがにヤバいな、と思いました」
 そうタメ息まじりに語るのはAD歴2年の中村マイさん(仮名・23歳)。中村さんは制作会社のADとして新卒で入社。昔からテレビっ子で、芸能人になりたいと思っていた時期もあった。しかし、少しでも華やかな世界に近づきたいと意気込んで飛び込んだADの世界で、彼女を待ち受けていたのは、地獄だった。
「会社に何連泊しているのか自分でも把握できなくなって、ストレスで吐き気や動悸がひどくなり、身体は疲れているのに眠れない日々が続きました。いわゆる不眠症ですよね。精神的にも体力的にも限界でした。やっと空いた時間を使って心療内科に行ったところ、その場でドクターストップ。2ヵ月間休みをとるように言われました」
 当時、極度のストレスから顔の筋肉が硬直し、うまく笑えなくなってしまったという中村さん。2ヵ月の休みを会社に申請したが、結局休めたのは1ヵ月間のみ。ドクターストップさえ「業務を止める」効力はなかったのだ。しかし彼女は、それでも恵まれているほうだと語る。
「私の先輩は、仕事中に泡を吹いて倒れました。本当に人間って漫画みたいに泡を吹くんですね。でも30分後には、いつも通りの作業をさせられてました。そんなんだから、会社に相談して円満退社できる雰囲気なんてなくて、辞める人はみんな、突然連絡を絶ってフェードアウトするんです」
 中村さん自身も長期の休みをとって会社に居づらくなったため、結局誰にも言わずに退職。数日間、会社からの電話が鳴り止まなかったという。憧れだったテレビ業界に飛び込んだものの早々に現実に直面し、絶望した中村さん。だが実は彼女、テレビ業界を諦めきれず、別の制作会社でADとして再スタートを果たした。目下の悩みは現場で以前の職場の知り合いや、担当していた芸能人に遭遇すること。
「そのたびに、ここで私を見たことは誰にも言わないでくださいってお願いしてます。なんだか逃亡している犯罪者のような気分。本来だったら責められるべきは私ではないのに、おかしな話ですよね……」
 健康の次はやはりカネの話題にいこう。早朝や夜、休日でも問答無用で呼び出されるのが当たり前のADの世界。労働規定など、あってないようなものだ。しかも残業代はほぼナシ!
「額面13万円で、現在の家賃は6万円弱。本当はもっと家賃の安い所に住みたいんですけど、報道番組担当だとそうもいかないんです。事件や災害が起きれば即呼び出されるため、会社近くの物件を借りざるを得ないから……。食費や光熱費を差し引いたら生活するのがやっとです」
 そう嘆くのは、AD歴3年の丸山裕太さん(仮名・25歳)。都内で一人暮らしをする彼の悩みは、周囲との収入格差。年の近い友人たちは将来を見据えたやりくりを始めており、焦っているという。
「結婚? そんなのムリに決まってますよ。将来のことなんてとてもじゃないけど考えられません。それよりもうまいもん食べたいですね。でも、この給料じゃ大学生がいくような居酒屋が限界。現場でタレントさんたちが美味しいレストランの話で盛り上がっている横でコンビニ飯って……虚しいですよ」

プロデューサーは神様、ADは下僕 人格否定が常態化したパワハラ天国
 彼らを苦しめるのは肉体的な過酷さだけではない。制作会社に所属する彼らが派遣されるテレビ局生え抜きのディレクター、プロデューサーから常態化したパワハラを受け精神的にも追いつめられている。
「僕の向かいの席に座っていた45歳のチーフディレクターが本当に質(たち)が悪かったんです」
 松本博司さん(仮名・24歳)はチーフディレクターから、業務とは関係のない雑用を頼まれることもしばしばだった。虚ろな目で、上司から受けたパワハラについて語る。
「チーフディレクターは『ジャンプ』と『マガジン』と『ヤングジャンプ』を毎週欠かさず購入し、読み終わったら机の上積み上げていくのですが、それを各雑誌3週間分残し、あとは捨てるように命じられていたんです。その指示通りに、処理していたら、ある日突然『テメー! 佐々木希がグラビアだったヤンジャンどこにやったんだよ!!』と僕の胸ぐらを掴んで、凄い剣幕で怒鳴りだしたんです。掲載誌は5号前のものなのですでに捨てていることを伝えました。すると『なんで俺が好きな子のグラビアを……そういうところが気がきかないって言ってんだよ! マジで死ねよ!! いや死ぬ前にどっかで絶対手に入れて机に置いとけよ!』と言われました。結局古本屋を探しまわって、佐々木希の載ったヤンジャンを机の上に置きました……」
 こういった上司からの理不尽な言動は、枚挙にいとまがない。
「僕が入社してすぐの頃、動画編集のセクションでインフルエンザが大流行したことがありました。ある日そこへの届け物ができたんです。ディレクターはインフルエンザにかかりたくないから、僕に行かせることにしました。そして荷物を渡す時、『お前が倒れてくれたら、もっと優秀なADが代わりに入るからさ、マスクしないで行ってこいよ』と言ってきたんです。今だったら『アホか』とマスクをして行きますが、局員の命令は絶対ということを仕事よりも先に叩きこまれていたので、マスクをつけずに行き、見事にインフルエンザにかかりました……」(山本隆さん・仮名・24歳)
 また、唯一の楽しみといっていいほどの、ADの食事に対しても理解不能なイチャモンをつけてくる例も……。
「マックのハンバーガーをディレクターの前で食べてたら『ダイエットしている俺の前で、匂いまき散らしてんじゃねーよ』と怒られ、スタッフが買ってきた旅行土産のお煎餅を食べたら『集中してる時に音立てんなボケ!』と怒られ、最後には『(匂いも音も出ない)食パン以外食うな』って言うんです。ちなみにAP(アシスタントプロデューサー)の可愛い女の子が、デミグラスソースの匂いがプンプンするハンバーグ弁当をそのディレクターの前で食べていたら『○○ちゃんの食べてる顔を見てると、元気出るわ〜』とデレデレ。あの時はマジでぶん殴りそうになりましたね」(中井和弘さん・仮名・26歳)
 これらのありえないパワハラ行為に、立ち向かう「漢(おとこ)」はいないのだろうか。
「最初はみんな『俺がガツンと言い返してやる』くらいに思ってるんですよ。でも、日々繰り返し理不尽なパワハラをされると感覚が麻痺していき、"思考停止状態"に陥ってしまうんです。そうなるとディレクターやプロデューサーに何を命じられても、何を言われても受け入れられるようになってしまうんです。
 そして、恐ろしいことにパワハラの言葉さえ上司が正しいことを言っているように思えてきてしまうんです。頭をたたかれたり、暴言を吐かれても、オレが仕事ができないから殴られるんだって思うようになるんです」(前出・中井さん)
 まるで洗脳のような現象が、彼らに蔓延しているのだ。また、もっと生々しいプロデューサーやディレクターたちのエピソードも聞くことができた。
「派遣先の某テレビ局で、プロデューサーとディレクターの会話が、たまたま耳に入ってしまったんですけど、その内容に驚愕しました」
 そう語るのは、派遣ADとしてテレビ局に勤務していた岡崎啓介さん(仮名・24歳)。
 番組ごと、企画ごとに派遣会社に命じられた現場に行く彼は、様々な修羅場を見てきた。とくに某テレビ局で聞いてしまった会話は衝撃的だったというのだ。
「各ADは、テレビ局の下請けである制作会社の社員で、雇用契約を結んでいますが、会社によって労働条件はバラバラなんです。とくに違うのが、拘束時間。大別すると、テレビ局が働かせられるのは『8時間まで』という契約のADと、『ひとつの仕事が終わるまで』という契約があります。後者はフレックス制度雇用というきれいな言い方で呼ばれていますが、ようは24時間働かせても大丈夫、という認識なんです。フレックス制のADのことをプロデューサーは携帯に例えて、"パケホ(パケ放題)"と呼びます。『今回とったやつはパケホだから、何でもありだよ』『マジすか、めっちゃラッキー』っていう感じです。オレたちは使い放題かよ! と、本当に腹がたちました。逆に、前者だと残業代が発生したり、月間で働く時間数が決まっているので、『もうアイツ速度制限かかっちゃってるから、通信オーバーで使えないわー。うぜー』みたいに言われます。いい番組を作ろうと、がんばっている自分が、携帯扱いされていたことがショックだったし、所詮ADなんて使い捨てなんだなって、悲しくなりましたね」
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チーフディレクターのお気に入りアイドル、女優リストをADは手帳に書き込んで、漫画雑誌を捨てる時はいちいち確認するようにしているとか
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若者の憧れの職業では上位にくるテレビ業界。しかし、光が当たるのはプロデューサー、ディレクターで制作会社所属のADは文字通り使い捨てにされている
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ディレクターに、デスクでは食パン以外の食べ物を禁止されたADはあらゆるメーカーのものを食べつくし、今では目隠しでもメーカーがわかるという

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