駐車違反「取り締まり」のセコすぎる現場
2017.01.24
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交通違反取り締まり第4弾

二人一組の監視員はドライバーの死角に隠れてカウントダウン!
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男性がどんなに抗議しても、「違法は違法ですから」「も う切っちゃいましたから」と取りつく島もない
 1月15日、銀座東二丁目交差点(中央区)。駐車禁止の取り締まり現場で駐車監視員に憤る男性がいたので話を聞いた。
「信号を渡った先のコンビニでお弁当を買ったんです。ちょっとの時間なら大丈夫だろうと車を停めました。でも、取り締まりが怖かったのでレジで会計している時も、窓越しに見ていたんですよ。ところがコンビニから出た時に監視員が車の陰から突然出てきて、ステッカーを貼ろうとしているんです。僕は人目もはばからず大声で『待ってください!』『やめてください!』と叫びながら走ったんです。でも無視されて、そのまま貼られてしまいました。あの人たちは『聞こえませんでした』と言っていたけれど、絶対にウソですよ。だって、3mくらいの距離まで近づいていたんですから」
 緑の制服を着て、二人一組で駐禁を取り締まる駐車監視員制度は、’06年6月からスタートした。ジャーナリストの寺澤有氏に話を聞いた。
「この制度は違法駐車対策のために始まりました。肝は従来の『反則金』や『罰金』に加え、新しく『放置違反金』が登場したことです。これによって放置した車の持ち主が違反金を支払えば、免許証の点数が減らないという仕組みが生まれました。この実行部隊として民間の駐車監視員制度が誕生。民間委託と銘打ってますが、実際は団塊世代の定年を見越した、警察官の天下り対策です」
 彼らの作業内容は次のようになっている。①運転手がいない車を発見したら"状況写真""ナンバー"を撮影する。②携帯端末に、場所・違反理由などを入力し、ステッカーを出力。③ステッカーを車に貼り、その様子を撮影すれば完了だ。
「でも、表立って明らかにはしていませんが、彼らには取り締まりのノルマが課せられています。その結果、ドライバーとのトラブルを生むセコい取り締まりにならざるを得ないのです」(前出・寺澤氏)
 冒頭の監視員のように、時間が来たら脇目もふらずスピーディーにステッカーを貼ったり、運転手に自分たちの存在を気づかれないように、一旦狙いを定めた車から離れて携帯端末への入力やステッカーの出力をするなどの行動がそうだ。
 実際記者は同日、銀座エリアでこんな光景を目撃している。彼らは運転席に人の姿がない車を見るや、カメラを構え写真を撮った。直後に車の後ろにいた女性が「いますよ」と言うと慌てて車から離れていったのだ。車の状態を少しでも見るゆとりがあればトランクを開けている女性に気付かないはずはない。その必死さは滑稽ですらあった。交通ジャーナリストの今井亮一氏が解説する。
「監視員が焦って仕事をするのは、取り締まり件数とともに、仕事の実績を残したいからなのです。
 監視員の取り締まりには、成績が付けられています。ステッカーの『取付』件数。それからステッカーを出力したものの、貼る前に運転手が戻ってきたために作業をやめる。これは『警告』と呼ばれます。3つ目はステッカーの出力前に運転手が戻ってくる『中止』です。
 監視員は固定給で、どんなに取り締まろうが給料があがるわけではないのですが、1年ごとに仕事を委託されているので、少なくとも『中止』まで持っていかないと『仕事をしていない』と判断され仕事を失うことになりかねないのです」
 杓子定規の監視員制度によって、宅配業者など、必要に迫られて短時間停車する車の持ち主に「放置違反金」を要求。その一方、歓楽街に運転手付きで高級車を一晩中停車し、渋滞を引き起こしても張本人はお咎めなし。こんな理不尽がすでに10年も続いているのだ。
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管轄である築地警察署に揃って戻る監視員。無表情が規則でもあるかのようだ
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トランクを開けている女性に気付かずに写真を撮り始めるも慌てて撤収した
PHOTO:濱崎慎治
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