准看護師殺害事件 上海に逃亡していた犯人を操った黒幕
2017.02.03
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大阪・西成発
発生から3年で急展開
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1月27日、送検されるオーイシ容疑者。取り調べには「何も話すことはありません」と供述している
「今回の事件はようやく犯人が逮捕されましたが、直接的な原因はまだはっきりとは分かっていません。大阪府警は『金盗り』か『背乗(はいの)り』の2つに絞って捜査しています。背乗りとは他人の戸籍などを元に偽造パスポートを作ること。実際、犯人は被害者から奪った健康保険証を悪用して戸籍謄本を不正取得、この謄本を使って被害者名義のパスポートの交付を受け、被害者になりすまして中国に出国していました」(全国紙社会部記者)
 1月25日、上海の浦東(プードン)国際空港で、日系ブラジル人のオーイシ・ケティ・ユリ容疑者(32)の身柄が中国から日本へ引き渡され、大阪府警に逮捕された(有印私文書偽造・同行使、詐欺容疑)。府警は今後、岡田里香さん(当時29歳)に対する強盗殺人容疑でも再逮捕する方針という。
 准看護師だった岡田さんは’14年3月に行方不明となり、同年5月に遺体が東京・八王子市内のトランクルームで発見された。殺害現場と見られる大阪・西成区の岡田さんの自宅から遺体を運ぶために宅配便を利用したり、死後に遺体をメッタ刺しにするなど常軌を逸した犯行手口が次々に判明。オーイシ容疑者は5月末に逃亡先の上海の日本総領事館に出頭、事件は一件落着かと思いきや、なぜかオーイシ容疑者の身柄は中国当局に拘束され(不法入国の疑い)、3年近くも経って今回、ようやく日本側に身柄が引き渡されたのだった。
「犯人は岡田さんのクレジットカードを不正使用して100万円以上を使ったという報道もありましたが、今回の逮捕事実はペットホテルの利用料3万7000円の不正使用だけでした。そこで注目されているのが、パスポートや外国人登録書を偽造する中国人グループの存在です。もしかすると、オーイシ容疑者は『背乗り』できるパスポートを探しており、その標的になったのが岡田さんだったという線もありえます。つまりオーイシ容疑者がパスポートを入手した見返りとして、中国人グループから仲介料をもらえるビジネスをしていて、ターゲットにした岡田さんに犯行がバレて岡田さんを殺害したのではないかという説です」(前出・社会部記者)
中国人スパイの常套手段
 そもそも、岡田さんとオーイシ容疑者は小中学校の同級生だった。二人の関係について同級生の男性はこう語る。
「中学時代オーイシは部活などせず、あまり周りの友だちと遊んでいませんでした。岡田さんはペン習字部に入っていて、二人とも中学時代は大人しかったですね。二人が特別仲良かったかどうかはわかりませんが、学校から一緒に帰る姿を何度か見かけたことはあります」
 中学卒業後、二人は疎遠になったが、岡田さんが殺害された’14年の2月に10年ぶりの再会を果たした。その時の様子が3枚目の写真なのだが、このあと二人の関係は急速に親密に、オーイシ容疑者は岡田さんの自宅マンションによく泊まっていたという情報もある。
 オーイシ容疑者は事件当時、八王子のマンションで中国人女性と同居していたのだが、この女性は’14年3月に日本を出国。オーイシ容疑者はこの女性を頼って中国に向かったという。
「背乗り」という手口は中国人スパイが日本人になりすまして活動する時の常套手段とも言われている。そのため、今回の事件の背後には中国当局の動きもあったのではないかという穿った見方も出ている。
「日本国内には、日本人から情報を入手するためスパイ活動をしている中国の団体がたくさんあります。中国の諜報機関の特徴としては、アメリカやイギリスのスパイ機関と違い、時間と費用を惜しまず、粘り強く交渉する点です。彼らの活動の目的は、ターゲットが自発的に『中国に行きたい』『中国に協力しよう』と思うように仕向けることです」(中国問題に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏)
 今回の事件の黒幕は、中国人犯罪組織なのか、あるいはスパイ組織なのか――。
 大阪市内にある岡田さんの実家を訪ねた。家のチャイムを鳴らすと、父親が姿を現した。取材の趣旨を伝えると、表情を変えることなく、
「いまはお答えすることはありません。警察にすべて任せているので」
 と淡々と答えるのみだった。
 無残な手口で突然生命を奪われた岡田さん。その無念を晴らすためには、犯人の逮捕だけでなく、事件の背景を解明しなければならない。
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中学校時代のオーイシ容疑者は、大人しい印象で、周囲にうまく馴染めていなかったという
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’14年2月に大阪市内の居酒屋で撮影された写真。右奥が岡田さんで、その正面がオーイシ容疑者(Facebookより)
PHOTO:加藤 慶(1枚目)
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