スポーツは人間ドラマだ! 第128回 ギネスにも載った!ゴン中山「4試合連続ハットトリック」
2017.02.20
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’98年4月29日
Jリーグ
ジュビロ磐田vs.コンサドーレ札幌
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コンサドーレ札幌戦で3点目を挙げた瞬間。「僕じゃなかったら、もっと点を取れたはず」と本人は謙遜する
「最後の1点は、鬼気迫る思いでゴール前に詰めていました。チームメイトの『中山に記録を打ち立ててもらいたい』という気持ちも伝わっていた。だからこそ、とにかく結果を出したかったんです」
 ’98年のJリーグで4試合連続ハットトリックを達成した"ゴン"こと中山雅史(49=以下、「 」内は本人)は、当時をこう振り返る。
 4月15日のセレッソ大阪戦に始まり、サンフレッチェ広島、アビスパ福岡戦でも続けざまにハットトリックを達成。大記録のかかったコンサドーレ札幌戦には、日本中の注目が集まった。
 中山はこの試合でも2点を取り、あと1点という場面。迎えた後半36分だった。
「MFの奥大介が、ゴール前でパスを回してくれたんです。客観的に考えると、奥が自分でシュートを打ってもいいシチュエーションだった。けど、後で彼に聞いたら、『中山さんの形相があまりに恐ろしかったから、パスを出さざるを得なかったんですよ!』って(笑)」
 当時のジュビロ磐田は、リーグ最強を誇っていた。前年のセカンドステージで優勝し、年間チャンピオンのタイトルも獲得。’98年もファーストステージで優勝を飾り、破竹の勢いで勝ち進んでいた。
「あの時代はチーム全体が成熟し、結束していた。周りがスター選手だらけなんですよ。名波(浩)に藤田(俊哉)、服部(年宏)、福西(崇史)、ドゥンガ……。そこに高原(直泰)まで入ってきたから、僕はポジションを奪われないために食らいついていかないと、という危機感が常にありました。4試合連続ハットにしても、絶えず周りにお膳立てしてもらって達成できたという気持ちが強いですね」
 ゴン中山がこの4試合で奪った得点は、実に16点。それでも、中山には悔いが残っているという。
「確かに記録は達成したけれど、得点できるチャンスはもっとあったんです。それをモノにできなかったという印象のほうが強い。決めきれない自分の未熟さに苛立ちを覚えていました。その思いは、いまでも消えません」
 この記録はギネスブックにも載り、昨年11月にクロアチア下部リーグに所属する選手が塗り替えるまで18年間も破られなかった。
 そして現在――。中山は、新たな戦いに挑んでいる。’12年に第一線を退いてから3年間のブランクを経て、’15年9月からJ3のアスルクラロ沼津で練習を続け、試合復帰を目指しているのだ。
「この年齢で醜態を晒しているというのもわかってる。でも、それが自分なんです。表舞台に立てる保証はないけど、努力し続けたい」
 Jリーグ史上に残る大記録は、泥臭い努力をいとわない男の胸に輝く勲章のひとつだ。(文中敬称略)
PHOTO:時事通信社
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