元福島第二原発の社員が告発 東電は「隠す」「本当のことを言わない」「反省しない」
2014.03.11
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東京電力が公開した、現在の福島第一原発3号機原子炉建屋屋上部。ガレキは除去されたが、軀体の損傷は激しい
「小野君、これは国策だからやることになっているんだよ」
 東京電力・福島第二原発に勤務していた小野俊一氏(49)は、そう語った当時の上司の言葉が、いまも耳に残っている。
 安全性が確保されているとか、発電コストが安いなどの理由は後付けに過ぎない。「国策だからやる」――これが東電のホンネだ。しかしそのホンネが、国民に開示されることはけっしてない。
 電気を使う市民、原発立地地域の住民よりも、国のほうを向いた会社。東京電力の体質は、あの悲惨な福島第一原発事故以前も以後も、基本的に変わらない。
 東大工学部・精密機械工学科を卒業した小野氏は、’88年に東京電力に入社し、福島第二原発で5年間、東電本店原子力発電部原子力技術課で2年半の勤務を経験したのち、退社。内科医に転じた。いまは講演活動や、ブログなどで原発の危険性を訴えている。
中間管理職のような会社
「東京電力は、原発事故の前も、後も国民に十分な情報を提供していません。
 建設当初、原発では、格納容器内のほとんどすべての配管に石綿などの保温材がついていました。もしこの状態で事故が起きると、保温材がはげ落ち、圧力抑制室(サプレッション・チェンバー)などに入って、ポンプを詰まらせてしまう。この問題は20年近く前に指摘されていましたが、対策は終了していませんでした。こういう"未解決安全問題"は他にも多数、アメリカで報告されていて、東京電力も把握していましたが、『対策が決まっていないと、国民が不安になるから』という理由で公表していなかった。
 福島第一の事故後、メルトダウンの事実を認めようとしなかったのも同じです。情報を内部の関係者だけで独占して、本当のことを言わないという体質が、染みこんでいるのです」
 東京電力が頑として認めなかったのは、「メルトダウン」だけではない。東日本大震災の衝撃によって原発内部の配管が破断もしくは毀損し、そこから放射性物質が漏れた可能性が高いことは、その後の調査で確実視されているが、東電はいまだに認めていない。
 小野氏はさらに、こんな秘話を明かす。
「事故前、国会で野党の議員から、原発の安全性について質問が出ることがありました。それに対して、その時点での最新の知識で回答してはいけない、とされていたんです。なぜなら、以前の国会答弁と矛盾する可能性があるからです。分厚い記録から類似の答弁を見つけ出し、それを踏襲する。上司に聞いても、『前にこう答弁しているから、これでいいんだよ』という感じでした。その積み重ねが、安全神話を生んだんです」
 東電幹部が硬直的なエリート集団と言われるのは、このあたりに理由がある。小野氏は本店勤務時、燃料グループの社員が、こう話すのを聞いたという。
「燃料棒が、プールからちょっとでも顔を出したらやばい。みんな即死だぞ」
 思わずホントですか?と聞き返すと、真顔で「そうだよ」と返されたというが、こんな話、国民は誰も知らない。
「東電は何を、どう公表するかを自分たちだけで決められず、所管官庁の経産省の了承を得なければならないんです。社内はそれぞれ縦割りで原子力発電の全体像を把握している人がおらず、国の指示に従って原発を動かしている。そういう意味で、東電は官僚以上に官僚的と言えるかもしれません」(小野氏)
 原発問題を研究しつづける環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏も、同様の問題を指摘する。
「東電の情報開示が常に後手後手になるのは、二つ理由がある。一つは、大変なことを言って騒ぎを大きくしたくない、という思い。もう一つは、全体状況をはっきり理解できている幹部がいない。政治家に対するロビー活動をやってきた人ばかりがえらくなっていますから、危機を大局的に理解できていない。それが『東電は嘘つきだ』という印象を与えるんです。それと、一度発信した内容を変更しようとしない。だから、嘘に嘘を重ねるような結果になる。東電という会社自体が、中間管理職のようなところなのです」
 そんな会社が、あれほど危険な原発を動かしていいのか。持っていていいのか。
 最大の疑問は、そこにある。
HOT WORD: 原発 東電
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