性交回数を競いハメ撮り動画を共有 公判でわかったリアルナンパアカデミー塾生たちの卑劣な手口

『リアルナンパアカデミー(RNA)』の塾生だった羽生(はぶ)卓矢容疑者(33)と根本賢容疑者(27)が女性を酔わせてレイプし、逮捕された事件の第二回公判がこのほど行われ、その卑劣な手口が明らかとなった。二つの裁判を傍聴した、ライターの高橋ユキさんがレポートする。

「1ヵ月の性交回数」を競い合いハメ撮り動画をグループLINEに リアルナンパアカデミー塾生たちの卑劣な手口

羽生容疑者は取り調べに対して「女性を100回ほど部屋に連れ込んだ」と自供。写真は本人のSNSより

 

 女性に酒を飲ませ、酩酊状態にさせたうえ性交したとして、準強制性交等罪と集団準強姦罪に問われているナンパ講座の『リアルナンパアカデミー』(以下、RNA)の元塾生で元会社員、羽生(はぶ)卓矢被告(33)の第二回公判が8月24日、東京地裁で開かれた。


 7月12日の初公判では、同じくRNA塾生で、共犯の東京メトロ社員、根本賢被告(27)と共謀し、昨年7月31日の夜から翌日の1時半ごろにかけ、東京・新宿区のマンション一室でモデルのAさんが酒に酔って抵抗不能な状態になったことに乗じて性交したという『Aさん事件』についての起訴状と証拠書類読み上げまでが行われた。羽生被告は逮捕当初は否認していたが、この日の罪状認否では、Aさん事件について「間違いございません」と全て認めた。


 RNAでは女性をナンパしてセックスに至るまでのテクニックを塾生たちにレクチャーしている。また『合意を得た記録を残せ』との指導を受け、塾生たちはハメ撮り動画を撮影した上、塾長にそれを送信したり塾生間で共有していた。だが起訴状によれば、羽生被告らは被害女性が酔ったことに乗じて性行為に至ったのであり、合意は得ていなかったことから、「強制性交」と認定された。Aさんは性行為後に泣いていたという。


 今回の第二回公判では、新たに被害者Bさんについて集団準強姦罪での追起訴があり、Aさん事件とあわせて審理が行われた。『Bさん事件』が起きたのは昨年4月1日未明から朝にかけて。Aさん事件よりも前のことになる。前月からRNAでは塾生同士が「1ヵ月の性交回数」を競い合っており、その期限が4月1日の朝8時であった。そのため性交回数を増やしたいと考えていた羽生被告は、Aさん事件とは別の共犯者、大滝真輝被告(29)から「Bさんとカラオケをしてる」と連絡を受け合流。Bさんを新宿区のマンション一室で酩酊させ、共犯者と共に性行為に及び、その様子を動画撮影した。こちらのBさん事件についても羽生被告は「間違いありません、申し訳ございませんでした」と全て認めている。


 AさんとBさんを酔わせる手口は共通していた。いずれも都内の店で飲んだ後に、RNAが管理していた新宿区のマンション(通称「ハウス」)に移動。ダーツを行い、負ければ度数の強い酒を一気飲みするというルールで、女性たちを酔わせ、さらにカードゲームでも同じルールを用い、酩酊させて性行為に及んでいた。しかし、Bさんに関してはダーツに勝ち続けたため、カードゲームに勝負を移し、大滝被告とこっそりメールで手札を教えあいながらイカサマをしてBさんを負けに追い込み酩酊させたのだという。


 いずれの事件でも、性行為中にその様子を撮影したり録音したりしており、行為後にこのデータを、RNAのグループLINEに送信していた。また特にBさん事件を起こした当時はRNA塾生らが「1ヵ月の性交回数」を競い合うレースの最終日ギリギリだったということから、頻繁に塾生らのニックネームとその月の彼らの性交回数が別の塾生によって集計され、グループLINEに投稿されていた。Bさん事件直前、羽生被告の月の性交回数は「21」、共犯者は「19」。集計締め切り時刻7分前の4月1日7時53分、羽生被告は「間に合った」という文言とともにBさんの写真をグループLINEに送信。これをもって一覧表は更新され、羽生被告は「22」、共犯者は「20」となった。


 公判では羽生被告の被告人質問に先立ち、実父の証人尋問が行われた。AさんBさんに対しそれぞれ、400万円の被害弁償金を支払っていること、うち約200万円は羽生被告が捻出したがその他は家族や親戚からかき集めたものであること、今後の返済のため自宅を売却する予定であることが実父により明らかにされ、これを受けて羽生被告は涙を見せ、水色のタオルハンケチで目や鼻をしきりにこすっていた。また、羽生被告は事件後出会った女性と結婚し、現在妻は妊娠中、10月に出産予定であることも明らかになった。


「1ヵ月の性交回数」を競い合いハメ撮り動画をグループLINEに リアルナンパアカデミー塾生たちの卑劣な手口

事件現場となった西新宿のマンション。『RNA』の塾生はこの一室を「ハウス」と呼んで利用していたという


 被告人質問ではRNAでの活動実態を羽生被告自らがこう説明した。


 RNAに入ってから、ナンパで性行為に及んだことは約100回あり、そのうち男性が複数人だったのは10回ほど。ナンパした女性を酒に酔わせていたことに関しては「飲むことで性行為をより承諾してもらいやすくするためです。塾長からそういう指導がありました」と語った。また、性行為の最中に音声を録音したり動画、写真を撮影していたことについては「和姦の証拠になると指導を受けていたからです。当時は深く考えず鵜呑みにしていました。でも逮捕後に検事と話した際、合意ということを無理やり女性に納得させるための脅しの材料ではないのかと言われ、そう理解しました」と、かつては純粋に“和姦の証拠”として記録していたと述べていた。


 Bさん事件を起こした時は、先述の通り、RNA内で昨年3月中の性交人数を競い合う勝負が行われていた。このときのグループLINEの名称は『終戦記念日』。性交人数の競い合いの終了と終戦をかけているとしたら呆れるばかりだ。事件直後にカウントが「22」になったことについて女性検察官が淡々と、しかし厳しい追及を始める。


検察官「『22』とは3月にナンパして成功した人数ですよね?」

羽生被告「はい」

検察官「3月は31日まで。ほぼ毎日ナンパして性交していたんですか?」

羽生被告「おっしゃるとおりです」

検察官「どんな思いで繰り返してたんですか?」

羽生被告「ナンパして、性交人数が増えること、ある種ステイタスのように感じてました。身勝手な思いで繰り返してた、バカだったと思います」

検察官「人数が増えて何か利益になることがあったんですか?」

羽生被告「何も得られることはないです、今となっては……当時は争っていました」

検察官「あなた共犯に『20ゲットおめでとう』と言いましたか?」

羽生被告「共犯がBさんと性交したあと、そうしたことは言った記憶があります」


 Aさん事件に関しては、Bさん事件と同様、酩酊させたのちに根本被告と順番に性行為に及び、動画を撮影していた。この理由も同じく「和姦の証拠になると聞いていた」からだという。だがのちに根本被告から「Aさんが怒っている」ことを聞かされた。その後、根本と塾長がAさんを説得。羽生被告はAさんに納得してもらったと思っていたのだという。


 Aさんは羽生被告がRNAに入塾して100人目の性交相手となる。これについては、検察官の隣に座っていたAさんの代理人弁護士が厳しく追及をした。


代理人「100人目の意味はなんなんですか?」

羽生被告「今考えればおかしいですが、99から100になる……当時、ひとつステイタスのように感じていました」

代理人「100人目がステイタスというのはRNAの共通認識ですか?」

羽生被告「少なくとも自分は優越感を得ることがありました」


 追い打ちをかけるように、検察官席の後ろに立てられた衝立の奥から、Bさんが自ら羽生被告に質問を浴びせた。


Bさん「人数が増えることでステイタスが上がると思っていたんですか?」

羽生被告「はい」

Bさん「私がどのような気持ちかわかりますか?」

羽生被告「女性をモノのように扱う酷い行為で、私に対して怒りを感じていると思います」


 さて、Aさん事件の共犯、根本被告と、Bさん事件の共犯、大滝被告は、それぞれ羽生被告とは別に公判が行われている。今回の羽生被告第二回公判の3日後である8月27日には根本被告の第二回公判(準強制性交等罪)が開かれた。被告人質問は初公判で既に終わっているが、根本被告も羽生被告と同様、起訴事実を認めている。この日、検察官席の後ろの衝立奥から、被害者のAさんが涙ながらに意見陳述を行なった。根本は羽生被告とAさんが性行為する場面を動画撮影し、RNAのグループLINEに送信している。またツイッターにも性行為後、「ゲットした」と書き込んでいた。


 Aさんは事件後、心療内科に通うことになり仕事もままならない状態が続いているという。泣いているのか、何度も鼻をすすりながら、こう根本被告に訴えた。「塾に入って根本が学んだのは、人の体を傷つける方法。人の心の殺し方。動かない人を相手に、性行為する方法。そして自分の人生の終わらせ方です。『ゲット』とは手に入れるという意味ですが、あなたは何をゲットしたのでしょうか。ほとんど全て失った現状からもよく考えてください」


 小柄で痩せた根本被告は、ただうなだれるばかり。懲役6年が求刑された。根本被告の判決公判、羽生被告の次回公判はともに9月を予定している。


 RNAの教えを実行した羽生被告らはこうして罪に問われているが、彼らがナンパ成功後の性行為を撮影した動画や録音したデータをグループLINEに送り、メンバーがそれを閲覧することは罪に問われない。また、こうした教えを説くこと自体も罪には問われない。RNAは今も存続している。



文/高橋ユキ

傍聴人。フリーライター。『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。



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