川崎市の“開かずの踏切” 遮断機が下りても通行数十人の無法地帯

JR南武線・平間駅前では開かずの踏切を待つこと20分。ムリに渡ろうとする人が続出中


川崎市の“開かずの踏切” 遮断機が下りても通行数十人の無法地帯

午前8時ごろ、平間駅前の踏切では、先を急ぐ乗用車が強引に踏切内に侵入。遮断機が車の後部を直撃した


 10月某日の午前8時ごろ、通勤ラッシュで混雑する駅前で、踏切が開くのを待っている通行人たち。その一人が左右をキョロキョロと見回した後、遮断機をくぐり抜けて渡った。それに続いて、数十人の通行人たちが一斉に踏切を強行突破し始める――。


 神奈川県川崎市にあるJR南武線・平間駅前が無法地帯になっている。踏切が開くのを待ちきれない人々が、日常的に遮断機をくぐり抜けているのだ。中には、自転車で線路内に侵入する男性や、小さな子供を連れて渡る母親もいた。閉まりかけの踏切に突っ込んだ自動車の後部に遮断機がぶつかるケースもしばしば発生している。


「遮断機をくぐり抜ける人のほとんどは、駅構内に向かっています。ここはいわゆる『開かずの踏切』で、一回渡り損ねてしまうと、次に開くまで20分以上も待たされる。そのため、無理にでも通ろうとするのです」(近隣住民)


 通勤ラッシュ時の1時間で、上りと下り合わせて40本以上の電車が運行している平間駅。近年、武蔵小杉のタワマン人気に伴って川崎市の人口が急増したことで、沿線である南武線のダイヤが過密化した。そのため、「開かずの踏切」による渋滞が深刻な問題となっているのだ。


「平間駅は線路を挟んだ東側にしか改札口がないため、西側に住んでいる人が電車に乗るには、踏切を渡らなければいけません。迂回路として、500m先に歩道橋がありますが、10分以上のロスになるので、通勤時にそちらを使う人はほとんどいない」(近隣住民)


 通勤や通学で急いでいる人にとっては、20分待つのはもちろん、10分かけて迂回する時間も惜しいのだろう。そうはいっても、危険であることには変わりはない。


「平間駅の場合、遮断機が下りてから電車が来るまでに結構な時間がかかっています。通行人の多くは、発車までに時間がかかる各駅停車の時だけ渡る一方で、急行の時は渡らないようにしている。彼らは自分たちなりに、安全かどうかを考えているのだと思います」(鉄道ジャーナリストの梅原淳氏)


 今年の9月には、横浜市神奈川区の京急線踏切内で列車とトラックが衝突する事故も起きた。平間駅ではこうした事故を防ぐための取り組みは行われているのか。川崎市役所・道路整備課の立体交差担当課長は話す。


「6年ほど前から、JR東日本とは本格的に改善のための話をしています。解決策として、立体交差を導入して踏切を無くすことを検討しており、来年の後半には正式に認可の手続きが始まる見込みです。工事に着手するのは、それ以降になるでしょう」


 滞りなく工事が進めば、立体交差の完成は’40年ごろになると見られている。


 JR東日本・横浜支社に問い合わせたところ、「踏切で警報機が鳴り始めたら渡らないように喚起するポケットティッシュを配ったり、ポスターを貼ったりしています」(広報部)との回答が返ってきた。


 だが、その程度の対策では、踏切への不法侵入を減らせるとは思えない。


 そもそも、遮断機をくぐって渡ることに法律的な問題はないのか。交通事故に詳しい「弁護士法人・響」の坂口香澄弁護士はこう指摘する。


「遮断機が閉まっている状態で踏切に侵入することは、法律で禁止されているので、1万円以下の科料に処される可能性があります(鉄道営業法第37条)。また、立ち入りによって電車が遅延した場合、鉄道会社から損害賠償を請求されることも考えられます」


 令和の時代にまかり通る「赤信号みんなで通れば怖くない」現象。一刻も早く手を打つ必要がある。


川崎市の“開かずの踏切” 遮断機が下りても通行数十人の無法地帯

遮断機が閉まっているにもかかわらず、各駅停車の電車が駅に停まったタイミングで、歩行者が続々と横断


川崎市の“開かずの踏切” 遮断機が下りても通行数十人の無法地帯

毎朝、踏切待ちの大行列が発生し、歩行者のフラストレーションは限界に達する


PHOTO:結束武郎


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