ラグビーW杯日本代表 8強に入ったからこそ見えた壁と可能性

"W杯ロス"も募るが、ブレイブ・ブロッサムズは4年後に向けて大きく変貌し始める――


ラグビーW杯日本代表 8強に入ったからこそ見えた壁と可能性

大会後の記者会見。「ベストプレー」を尋ねられた田村は、「毎日ベストでした」と答え、会見場は笑いに包まれた 


 ああ、もう一度観たい。グラウンドで躍動する日本代表を!


 W杯が閉幕したが、期間中、日本代表チームに対する評価は高まるばかりだった。’91年、’99年のオーストラリア代表で2度の優勝経験を持つティム・ホラン氏はこう絶賛した。


「現代のラグビーはディフェンス・システムが発達していて、どうしてもキック中心の組み立てになる。ところが、日本は細かいパスをつないで、相手の穴を突く。しかもノックオンなどのミスが少ない。本当にエキサイティングでクリエイティブなラグビーを見せてくれた」


 また、スクラム戦での健闘も見逃せない。ついこの間までは弱点とされてきた日本のスクラムが、アイルランドから反則を奪うなど、強みになった。しかもそのスクラムを完成させたのが、ヤマハの長谷川慎コーチだったというのも嬉しい。日本の「技術」が世界に通じることが証明されたのだから。


 ただし、準々決勝の南アフリカ戦ではベスト8とベスト4の差を突き付けられた。南アフリカはプールステージで主力を休ませつつ、しかも後半の勝負どころで投入してきた。日本にそこまでの余力はない。フッカーの堀江翔太(33)はこう語る。


「南アフリカの"圧"はハンパなかったです。日本がベスト4を狙うとするなら、これからは登録メンバーの31人全員が同じようなパフォーマンスを見せないと対抗できないですね」


 8強に入ったからこそ、見えた境地だ。今回の最大の成果はそこにあるだろう。


 4年後に向けて、日本代表は大きく変貌するだろう。今回のチームから、FWではトンプソンルーク(38)、BKでは田中史朗(34)、田村優(30)、東京オリンピックの後に医学部入学を志す福岡堅樹(27)らが代表から引退する見込みだ。海外の新聞の見立てでは、4年後となると堀江、主将のリーチマイケル(31)も代表を継続しているかどうかは微妙ではないか、という意見もある。


 そうなると、チームの中核として期待されるのはFWでは"笑わない男"稲垣啓太(29)、ロックのジェームス・ムーア(26)、ナンバー8の姫野和樹(25)だ。BKに目を転じれば、スクラムハーフの流大(ながれゆたか)(27)、センターの中村亮土(28)、ラファエレティモシー(28)、そして「フェラーリ」と呼ばれる松島幸太朗(26)が中心となっていくだろう。


 また、大学生に目を転じると、早稲田のスクラムハーフで主将を務める齋藤直人(4年)、明治でバックスの複数のポジションをこなせる山沢京平(3年)らが、来年あたりから代表入りし、経験値を高めていくことが望ましい。


 11月5日現在、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチが続投するかどうかはまだ決まっていないが、来年7月にはイングランドを日本に迎え、11月にはスコットランド、アイルランドへの遠征が待つ。


 W杯ロスでさびしさが募っているが、今年はすでに再開している大学ラグビー、1月12日に開幕するトップリーグを観ながら、代表の顔ぶれを予想するのが楽しみになりそうだ。


(生島淳 スポーツ・ジャーナリスト)


PHOTO:毎日新聞社/アフロ

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