不定期連載 国民の二人に一人がかかる病気 がんにどう向き合えばいいのか 生稲晃子(女優)

乳がん
「2度の再発と5度の手術を乗り越えて」


不定期連載 国民の二人に一人がかかる病気 がんにどう向き合えばいいのか 生稲晃子(女優)

いくいな・あきこ

’68年生まれ。主な出演作は『キッズ・ウォー』(TBS系)『芸能花舞台』(NHK)など


「昔から元気の良いイメージが強かったので、それを崩しちゃいけないと。健康番組のレギュラーを失うのも怖かったし、周囲に迷惑がかかると思っていました。でも、隠しごとをしていることのほうが病気より辛かったです」


 4年8ヵ月の間に2度の再発と5度の手術を経験した、女優・生稲晃子(48)。人間ドックで乳がんが発覚した。


「区の無料検診を毎回受けていたのですが、一度逃したことがあったんです。その時に知り合いの医者から人間ドックを勧められ、虫の知らせのようなものを感じて、久々に受診しました」


 主治医から右胸の早期乳がんを告知されたのは’11年3月。5月に受けた1度目の手術は、数ミリの腫瘍と周辺組織を取り除いて終了した。2日後には退院し、通常の生活へ。この時はまだ、病気について公表していなかった。


「『ちい散歩』(テレ朝系)でお世話になった地井武男さん(享年70)には、いろんなことを相談していたのでがんのことも打ち明けるつもりでした。その矢先、地井さんが心不全で亡くなられて……ショックでしたね、本当に。でも後日、地井さんの最初の奥様が乳がんで亡くなられたことを知って、言わなくてよかったのかもと思いました」


 不幸は続いた。地井の死から2ヵ月後の’12年8月、乳がんが再発したのだ。9月に2度目の手術を行うも’13年11月に再々発。医師からは右胸の全摘出を勧められた。


「自分の胸が全部なくなるなんて想像できなかったですね。でも先生から、『娘さんが成人する前にお母さんが死ぬわけにはいかないでしょう』と言われ、手術を決意しました」


 すぐに部分切除手術を受け、年末には右乳房の全摘手術。そして2年後の’15年10月、乳房の再建手術が終了したのを機に、乳がんを公表した。


「生きるか死ぬかの経験を正直に話すことで誰かの力になれるのなら、がんになったことも無駄ではなかった、と思えたんです。発病して以来、気持ちはずっとマイナス。でも、5度目の手術を待つ間は胸を作るというプラス思考になれたこともあり、いろいろなことも前向きに変えられたんです」


 最後に、闘病生活を支えてくれた夫への思いを語ってくれた。


「実は私の病気が発覚した時、義父もがん宣告を受けていたんです。その時に一度だけ、『俺が悪いのかな』と漏らしたことがありました。私以上に衝撃を受けていたはずなのに、家では病気になる前と同じように接してくれました。もし過剰にいろいろと気遣われていたら、逆に心が折れていたかもしれない。病気になってもこの家で必要とされていたことは、闘病の支えになりました。患者の家族は精神的、金銭的な面から『第二の患者』と言われるほど辛い思いをします。できるだけ軽い負担ですますために、早期発見がとても大切です。検診は必ず受けてください」



不定期連載 国民の二人に一人がかかる病気 がんにどう向き合えばいいのか 生稲晃子(女優)

再建手術で入院中の写真。著書『右胸にありがとう そしてさようなら』(光文社)より


PHOTO:結束武郎

あなたにオススメ

FRIDAY ダイナマイト

8月9日発売
friday ダイナマイト

FRIDAY GOLD

6月23日発売
friday gold