前川喜平「夜間中学の先生になった加計スキャンダル告発者」

ボランティアに心血を注ぐ前文科省事務次官


前川喜平「夜間中学の先生になった加計スキャンダル告発者」

団子を頬張りながら手渡された資料に目を落とす前川氏。休憩中には他のボランティアと忘年会の相談をしていた


 神奈川県の本厚木駅から徒歩数分、三階建てのビルの一室。年配の男女から若い外国人まで、合わせておよそ20名の生徒が、5つほど置かれた長テーブルに分かれて「授業」を受けている。休憩時間には生徒が差し入れた団子を頬張りながら雑談するなど、和気藹々とした雰囲気だ。


 ここ「あつぎえんぴつの会」は「自主夜間中学」。諸事情で教育を受ける機会を逸した人々に勉強を教えるボランティアの学校だ。入り口から一番奥のテーブルに腰掛け、生徒からの差し入れの団子を頬張る「先生」は、前文部科学省事務次官の前川喜平氏(62)ではないか。


「授業は毎週木曜日の午後12時半から15時までで、10人ほどいる先生のところに生徒が勉強したい教材を持ち込む形式。前川氏は教科書などは使わず、新聞を使って生徒と雑談のように話しながら教えていますね。『霞が関のエリート』という雰囲気はなく、話しかけられると気さくにニコニコ応じてくれますよ」(参加者)


 なぜ「加計学園スキャンダルの告発者」が厚木で先生を? 理由を尋ねるべく前川氏本人を直撃すると「これは、私の『罪滅ぼし』なんです」と言う。どういうことなのか、詳しく話を聞いた。


「『あつぎえんぴつの会』では、ボランティアとして生徒に勉強を教えています。文科省に勤務していたころから『夜間中学を増設してほしい』という声はよくいただいており、そのための法律の成立にも関わったりしましたが、課題を残す結果になってしまった。そんななか、文科省を辞める直前に講演を行った際、自主夜間中学の方に『文科省を辞めたらお手伝いさせてください』と頼んだんです。現職時代は役所のなかで仕事をすることが多かったのですが、仕事は面白くなくて、もっと『現場』に寄り添った仕事がしたかった。長年文科省が夜間中学に冷淡だったことの埋め合わせがしたいという思いもあり、微力でも助けになればと参加させていただくことにしたのです」


 今年夏の国会で、文科省の元トップでありながら、加計学園の獣医学部の新設に際し「総理の意向で行政が歪められた」と告発した前川氏。この問題の真相は現在もうやむやにされたままになっている。前川氏に「教育活動を続けながら疑惑の追及を続けていくつもりなのか」と尋ねると、意外な答えが返ってきた。


「疑惑の追及は国会とメディアがしっかり続けていくべきでしょう。しかし、この問題について私が新たに提供できる情報はありませんから、もう国会には呼ばないでほしいですね(笑)。


 自主夜間中学での学びは自由で、たとえば新聞を生徒の方々と一緒に読みながら、言葉の意味や社会の仕組みを説明したりしています。もう政治家の顔を見るのはコリゴリですし、今後も教育の仕事に携われれば幸せですね」


 疑惑を追及した答弁から4ヵ月あまり。前川氏は穏やかな口調でこう語ったのだが、その目からは「安倍政権許すまじ」の気迫が漂ってくるのであった。


前川喜平「夜間中学の先生になった加計スキャンダル告発者」

前川氏による「授業」の様子。トランプ大統領やテロ事件など、その時々に思い付いた題材について教えている


新規で会員登録をご希望の方
既に会員登録がお済みの方
あなたにオススメ

FRIDAY ダイナマイト

12月29日発売
friday ダイナマイト